暦上、夏は既に過ぎ去っていた。それは暦の上の話でしかない。現実は夏の暑さだけは残っていた。

「ふざけんなよ……。」
ラッセルはベットの上で悪態付く。
汗のせいでシーツと肌がぺたりとひっつく感じがたまらなく不快だった。
「なぁんで、クーラーつけないの。」
「電気代の問題。」
隣に同じように寝ているランピーにラッセルは目も向けずそう言った。
目を向けたところで暑そうにしているランピーがいるのはわかっていたからだ。暑いのにそんなもの見たくもない。
「つーか、暑いんだからてめぇは外にでろ。小さなベットの上で引っ付きたくねぇ。」
「そうなの?俺もね暑くて嫌なんだけどさー、ラッセルとくっついていたいなー。」
「いや、俺はくっつきたくないってば。」
話を聞かないやつめ。そういう眼差しを向ければランピーは額に前髪をひっつけながら「あら、エロい目。」と言った。無視だ無視。そうラッセルは心に決めると、ベットから立ち上がってドアを閉めた。
「お。」
嬉しそうなランピーの声が聞こえる。
言ったとおりになるのは癪だが寝れないのも嫌だ。そう思ったラッセルは金よりも睡眠をとることにした。
ピッと音がしてエアコンがつく。暫くすれば涼しい空気が部屋に回るだろう。
「さー、寝るぞ。」
「んふふー。」
ベットに戻ってきたラッセルの頭をランピーは自分の腕の上にのせた。俗に言う腕枕だ。
「あっちぃな。」
「いやー嬉しいね。」
「何が。」
「ラッセルが金よりも愛をとるんだもの。」
俺と寝たいからつけたんでしょ?というランピーを尻目にラッセルは、適当に生返事をして涼しくなっていく部屋の中で恋人の腕を枕にしながら夢の世界へと落ちていった。


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