「これはデートだ。」
スニフは本日48回目のひとりごとをつぶやいた。

そもそも今日のデートのお誘いはナッティからだった。

「スニフデートしたい。」
「誰と。」
「スニフと。」
「そう、じゃあ日曜日に。」
「うん。」

そしてナッティと別れた後、スニフは即座にデートプランを考えた。その数A〜Wまで。たとえ死天王が来ようと、ガキがこようと何が来ようと失敗させる気はなかった。勿論何人たりとも邪魔してこなかった。生物は。

「うわぁ〜!君好きだよぉ〜。そのなめたらあま〜くてとろけちゃうところたまんない……。」
「ナッティ。それはチョコレートだよ。」
「あ、なくなちゃった。」
「これはデートだ。くそくらえ。」
「何か言った?スニフ?」
「何にも、次は何したい?」
「んーとね、甘いの食べたい。」
「了解。」

これの繰り返しである。あっまい雰囲気も手をつなぐもくそもない。そう、誤算だったのだ。まさか生物ではない甘味がじゃましてくるとは思わないだろう。いや、相手がナッティである以上考えなかった自分が悪いのだ。そう思うしかない。にしても、隣に彼氏がいるのになぜその甘い言葉を甘い甘味にしか言わないのか。正直な話甘味に妬いている。お前らなんかみんなヒーローに消されちまえばいいとまで考えている。
嗚呼、もしヒーローがダイエットの為に甘味をすべて取り払う。なんて極端なことを考えれば、事件は一発解決なのに。そもそもヒーローは体重何キロなのだろうか?空を飛べるということは軽いということだろうか?いや、しかし骨などをスカスカにしてはあの力はでないだろう。ではなん

「うえっ?!」

突然空が見えた。正しくは足払いをされた。となると、とっさに腕を地面につける。
ドサッと尻もちをついた。そんな自分の腹の上にまたがるナッティ。

「どうしたのさ、痛いよ。」
「ねぇ、スニフ。スニフはナッティが嫌い?」

長い袖を口元にあて首をかしげるナッティ。焦点が合わない目が重力に従ってコロンッと目の中で転がった。

「嫌いなもんか。好きってさっきも言っただろう。」
「今でも?」
「好きだよ。勿論。」

首を左右に何回か傾げたナッティは、両目をキュッと閉じると口元に合った手をスニフの首に回した。
必然と距離が短くなって、唇と唇が触れ合った。
胸糞悪い甘さが口の中いっぱいに広がった。

「なら、デート中にヒーローのことなんか考えないでよ。」
「それはナッティだって…………。いや、僕が悪かったよ。大変失礼しました。」
「うん。いいよ。」

そう言って立ち上がって僕の腕を引っ張った。お尻を払ってナッティの方を向いた。

「それで、次は何したい。」
「んーとね。甘いの……んんー、スニフの家に行きたい。」
「かしこまりました。」

そう言ってどちらがなんてなく、手をつないだ。
袖の中の手は、甘味で汚れて無くて少し僕のより大きかった。

目次 一言感想
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -