「愛は毒薬」

頭が痛いと思ったら風邪をこじらせていた。俺の風邪は頭から来るようだ、と呑気に考えながらベットに倒れ混む。

「さみぃ……」

気がする。布団を被ると暑くなるその気温は何だかとっても微妙で肌寒かった。
暫くして寝てしまった
夢の中でアイツが心配した目でこちらを見てくる。手を伸ばすと触れられそうで____。

「ランピー?」

触れられた。そして目が覚める。目の前には確かにランピーがいる。そして手を握っている。ニヤニヤした顔のままランピーは手を離さない。

「離せよ。」
「好きな人が自分の名前呼びながら起きてくれるってどれ程嬉しいか分かる?」

自然と恋人繋ぎになる手。触れてる箇所が暖かい。

「分からねぇよ。されたことねーし。」
「今すぐ抱き締めてキスしたいぐらい何だよ?」

ふーん。と右から左へ受け流す。ラッセルはそんなことよりと続けた

「おなかすいた。」

じゃ、何か作るね。と言っていとも簡単に手を離される。案外軽い衝動何だな。
と思っていたら見透かされた様に「又後で。」何て言われた。
どこか嬉しい自分がいて腹が立つ……風邪なのも腹が立つ。
トントンと小刻みな音が聞こえてくる。そういえば、料理出来るんだよなー。とぼんやり思い出す。
自分の為に作ってくれる姿を想像すると、少し熱が上がった気がする。
リズムのいい音にうつらうつらし始めだしたとき、

「おまたせー!」

と言ってランピーがお盆に土鍋を乗せて戻ってきた。

「お前が作ったお粥とか。」

茶化しながらも口にいれる。
米の柔らかさ、味付け。うむ。んん。んー。うまい。

「美味しいでしょ?」

正直上手いって言うのが癪だったので黙って食い続けた。
するともの足りなさそうな顔をしているランピーが目に入った。

「何?」
「もっと弱々しくなんないの?」
「なんねーよ?」

えー…、と言って膨れっ面をされる。何だよ、こいつ。

「あーん。とかしたかった。」
「いらねー。」

あ、と何か気づいた声がした。何だよ。と聞くと

「今日は髪をくくって無いんだね」

って笑顔で返される。そう言えば起きたばかりだった。
食べ終えたお皿を机に置き、ランピーに背を向ける。

「くくってくんね?」
「いいよ。」

手が髪の絡まりを解かしていく。撫でられてる見たいで心地が良い。すると、突然

「うなじ」

そういって生暖かいものが這う。背中に電気が走った様にピリピリする。

「可愛い。」
「やめろ。」

そう言って、振 り向くと近くに顔が合って気付いたら唇が触れ合ってた。
優しくちょんと、一回キスされるとペロッと唇が舐められる。
この展開まずい。と思い身を反らすと何時のまにやらランピーの手が頭に回っていた。
増えていくキスの回数。それに合わして本気になっていくランピーの顔。
ラッセルは俺からは絶対何もしないと心に決めて結局流された。



【後日】

「げほっ!ごほっ!」

明らかに風邪になったのはラッセルだった。

「大丈夫?ラッセル。」
「お前の……せい……だろが…。」

ごほっ!と又咳をする。あのあとランピーはこれぽっちも風邪にかからず寧ろラッセルの風邪が悪化したのだ。

「え?ラッセル俺のお粥美味しそうに食べてたじゃない。」
「ちげ……よ……ばっごほっ!」

げほっごほっ!と喋ることすらままならない。ランピーは頭にずっとハテナを浮かべている。
その姿にラッセルは内心舌打ちをしながら、へらじかには絶対に流されないと心に誓った。



____ラッセルは前も同じことを誓った事を覚えていない。

2016年4月5日

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