キュッと水が止まる音がする。
ラッセルはタオルで手を拭きながら、ガスコンロの火を止めた。
机の上にはまだ湯気が立っているケチャップライスピラフが二つ仲良くある。
時計を見ると一時前。冷めないうちにくっかな?とその場にいない恋人を思いな がら言った。

机の上に綺麗に盛り付けられた皿を並べる。一つにスプーンを突き立てて食べる。
自分好みのその甘めに味付けした味に満足そうにスプーンを置いた。
先に食べればいいものをわざわざ相手を待つだなんて。メシのうまいまずいより、恋人との食事時間が大切だなんてと、
自分であきれた。
この前たまたま家に来たハンディにメシを食わせたところ、「味付けが変わった。」らしい。
自分では毎日食べているから気づかなかった。と告げると、

「毎日食べてるのならなんで甘目になったんだろうね。」

となおも不思議そうな顔をされた。思い当たる節をその時は思いっきり無視して「なんでだろーな。」と言った。
それが今となって思い出す のはケチャップピラフが甘目の味付けになっているからだろう。

いつもいつもあいつは甘目のを好む。そう言えば最近はやれケーキだの、やれアイスだの。お菓子まで作れと言ってきたなー。
と思い出す。自分がそれを律儀に作っていることはもちろん目をつぶる。
これはいわゆるあれだな。俺色に染めるってやつかな。何て考えながら時計を見る。結構経った。嗚呼、冷めるじゃないかよ。
何て悪態つきながらため息をつくと

「ラッセルー?いるー?」

と声が聞こえた。「遅い!」と一言返事して玄関に行く。



「待ってなくても良かったんだよ?出来立てのがおいしんだから。」
「待ってやったんだ。今度から早く来い。」

わー、俺愛されてるー。なんていいながら手を合わせていただきます。って言ってランピーは少し冷めたピラフを食べる。

「俺この味付け好きだなぁ。」

甘目で。何て腑抜けた笑顔で言うランピーにラッセルはため息を吐く。本当に何て奴なんだろう。自分は。

「あれ?なんでため息?」
「嗚呼、なんか___。」

いろんな方法で染められている自分がひどく羨ましい。



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