また戦いが始まる

CGS時代からそれが仕事なのは変わらないし、発足したてのあの頃に比べて鉄華団は地位や名声を得て、頼れる相手ができた。しかも今回はあのギャラルホルンと一緒の共同作戦だ

それでもやっぱり戦いの前の緊張感は多少の慣れはあるけれど消え去ることはなかった

(多分それが正解なんだろうけど、それでも息苦しいのはやだよなぁ…)

「おっ、あれってグレイズ?」

(あ…)


前の方から聞きなれた声が聞こえてきてイオナは足を止めた。どうやら先にハンガーに機材を持っていったザックたちに追いついたらしい

ザックとデインと、それからハッシュもいたなとイオナは少し髪を整えてから強めに床板を蹴った


「ハ……」
「早くモビルスーツに乗りてえ……」
(また言ってる…)
「ハッシュ」
「イオナ」
「あっイオナさ〜ん!お疲れっす」


イオナが声をかけると三人は振り返る。こないだの採掘場襲撃の件で初陣だった新人にも被害は出ている。あれからそうたってない出撃に気を病んでいたらと少し心配していたけれどそれは杞憂だったらしく振り返る三人の表情はいつも通りで


「うんお疲れ。三人とも大変だねこないだ初陣で息つく間もなく今日だもんね」
「そ〜なんすよ!ま、今回は戦場には出ないからその分楽かなあ〜って」
「いや…場合にもよるけど大体宙でやるときって補給と整備地獄だよ……
まあ今回はギャラルホルンも味方してくれるらしいしそんなに忙しくはならないかもだけど舐めない方がいいかも」
「……まじすか」
「まじ」

「う゛え゛〜」と不満を漏らすザックのいつも通りの軽さに少しだけ肩の力が抜けた気がした。

「さあわかったら働く働く!」

“おサボりさんは仕事終わらせるまでお弁当お預けにするよ!”なんてイオナが冗談混じりに急かすと「そんなぁ〜!!?」と泣き言を溢しながらザックがスピードを上げるそれと反対にイオナはスピードをおとしてゆっくりとハッシュの隣に並ぶ

「流石に、昨日の今日じゃまだダメだけど次出陣するときはMSに乗れるといいね」
「そうだな……」
「…大丈夫だよ焦らなくても」
「そんなのわかんないだろ」
「わかるよ。だってハッシュ真剣だもんだからきっと大丈夫だって」
「根拠になってない気がするけどありがとうな」


“なんかちょっとホッとした…かも”そう付け足すハッシュの表情が少しだけ前よりも落ち着いたような、そんな気がしてイオナは少しホッとした。

自分は、戦場に出て戦うことはできないからみんなの体調管理のお手伝いとか整備だとか雑用だとか裏方の仕事しかできない。だけど戦場に出ていないとき少しでも気を休められることができれば、気が急っている時に少しだけ心に余裕を作ってあげられたら

そういう風になれたらきっと少しは皆の、彼の役に気がする。


今のハッシュの表情と、“ありがとう”の一言でそれが出来たような気がしてイオナの気持ちが少し晴れる



「よし……私も頑張るね!」
「あ?お、おう……?」



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