痴話喧嘩
痴話喧嘩は犬も食わない。なんてことわざがあるけど、まさにその通りだと俺は思う。


俺のBAR HOMRAのカウンターで真っ昼間から酒を飲んでる彼女、神田日向はここの居候、赤の王である周防尊の彼女である。


日向は滅多な事でもないと酒なんてなかなか飲まんのやけど今は浴びるように飲んどるっちゅう事は、尊と何やあったんやと思う。


「なぁ、日向、尊と何かあったんか?」
「うー、うるさーい!尊、尊がどぉした!知るかそんな奴ぅ!」
「はあ、何かあったんやな」


完全に出来上がっとる。もともと酒に強いゆうわけやなかったけど、朝から現在の午後1時まで飲み続けてたらそらこうなるよな。何で止めんかったんや俺は。はぁ


「何や、よう分からんけど喧嘩したんやったらはよ仲直りしーや?尊かて日向に怒られたままやと気やすまらんやろ」
「何で!私が!尊を一方的に怒ってる風になってんの!よ!」
「あー、すまんすまん。ちゃうかったんか?」
「違うわよ!尊が!勝手に!怒って!来たの!」
「分かった、分かったからそないずいずい来な」
「ふん!」


どうやら今回の喧嘩はいつもと違って尊がふっかけたらしい。あいつ何を阿保な事やっとんねん。


カランカラン


「ちーっす」


そないなこと思っとったら八田ちゃんが買い出しから帰って来た。


瞬間、俺の眼下で何かが物凄い早さでドアの方に飛んでいった。


「尊のバカ!」
「へぶっっ!?」


ガシャンッ


どうやら日向が八田ちゃんと尊を間違えて皿を投げよったようや。どうやったら尊と八田ちゃん間違えんねん。


皿は日向がよく割るということもあって、日向に出す皿はいつ割れても良い奴にしてあるからさほど問題はない。


やけど、投げられた八田ちゃんが心配や。


「八田ちゃ〜ん、大丈夫か〜?」
「…草薙さん、俺、何か日向さんの気に入らない事したんすかね…?」


そう涙声で聞いてくる八田ちゃん。案の定痛かったみたいや。


投げた張本人は間違えた事に気づかずうーなんて言うて寝とる。ほんま何何やこいつは。


カランカラン


「あ、尊さん!おはようございます!」
「…おう」


どうやら彼氏さんのお出ましや。遅いわ


「ほんま尊来るん遅いわ〜、そのせいで八田ちゃん日向に皿投げられてんで?」
「何やってんだ」
「尊が怒らせるんが悪いんや」
「草薙さん、俺大丈夫っすよ」
「ほんまか?悪いなぁ、ほら!尊はちゃんと日向と仲直りしい!」
「…こいつが悪い」
「何やねんお前は!駄々っ子か!日向が何したか知らんけど取り敢えずなんで怒ったんか言ったらな可哀想やろ」
「……ナンパされてた」
「「……………は(え)?」」


八田ちゃんと声が見事にハモった。ちょお待ち、てことは何や


「ただの嫉妬かいな」
「……」
「はあぁぁぁ〜、ほんまお前ら何やねん!見せつけんなや!嫌がらせか」
「……ちげーよ」


そう良いながらも尊は日向を抱き上げる。俗に言うお姫様抱っこってやつや。結局見せつけとるやないか。


「邪魔したな」
「はいはい。はよ仲直りしてき」


尊はそれ以上何も言わず上へ上がって行った。



ほんま、傍迷惑なやつらや。


でも、まぁたまにはこんな普通の出来事も、悪くない。












(尊、嫉妬してたの?)
(悪いか)
(別に〜?ふふふ)









…草薙さん目線でほのぼの。


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