可愛げのある君
今日は朝から尊の様子がおかしい。


おかしいって熱があるだとかどこかを痛めてそうとか、そういう類の物じゃなくて、なんというか、甘い。


いつもは朝私が起きても気づきもしないのに今日は一緒に起きて朝ごはんを作ってる時もそばでコーヒーを作ってくれたりなんかして。


今だってそう。もう皆来ているというのに、ソファーの上で私を抱えたまま寝ている。


「なんや日向、今日の尊どないしたん?」
「いつもと立場逆転だね〜」


上から出雲、多々良。2人ともにやにやしただらしない顔でこっちを見てくる。


私だってわからない。


だから、尊を起こさないように困った顔で返事をした。


「おはよう……日向、何、してるの…?」
「ち〜っす…ってなななな何してるんすか日向さん!そういうことは2人きりのときにやってくださいよ!」


尊が話してくれず困り果てて諦めかけた時、寝ていたアンナが起きて来たと同時に八田くんと伏見くんがやってきた。


八田くんは顔真っ赤にして、伏見くんは無言で顔を逸らした。うん。失礼だよねそれはそれで。


「尊が離してくれないの」


取り敢えず無視するわけにもいかず極力小声で答えると、間髪いれずに伏見くんから


「惚気っすか」


と返ってきた。そんなつもりは無かったんだけど……。と思いながら俯くと


「こらこら伏見くん!そんな事言ったら日向が恥ずかしがって逃げちゃうでしょ!こんな珍しいキングあんまり見れないんだから目に焼き付けときなさい!」


なんて多々良が興奮気味にかたりだした。ああああ、恥ずかしい。


「な、何言ってんの多々良!やめてよ、もう!こっちは恥ずかしくてどうにかなりそうなんだから!」


もうなんかいろいろといっぱいいっぱいになってそう叫んだ。瞬間、後ろで寝ていたはずの尊がモゾモゾ動き出して。


「うるせぇ」


取り敢えずその場かお開きとなった。










尊のおかしな様子は、夜になっても収まらなかった。


私が何をしてもくっついて来て、それでいて抱きついてくる。何と言うか、ここまで来ると何かの前兆なんじゃないかと怖くなって来る。


「み、尊?今日はどうしたの?」


だから皆でご飯を食べているとき、思い切って聞いて見た。気になっていたであろう周りの出雲や多々良、アンナや八田くん伏見くんとかも一斉に尊を見る。


それに尊は若干繭を寄せた。私は生唾を飲みこで少しだけ心の準備をした。


「何もねーよ」


なんて言ってふいと顔を逸らした尊。多々良なか明らか納得してない顔で出雲の事を揺さぶっている。


「……うん」


納得してなくても言いたく無いからだって分かったからそれ以上は何も言えない。




今日はすこし甘えたかっただけ、そういう事にしておこうと思う。










(そういえば今日は何時もより魘されてたような)
(……何だよ)
(別に〜?尊にも可愛げがあるもんだなって)
(…は?)




…リクエストの物。イメージと違ってたらすみません!


prev next
back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -