「ねーねー!」
「…」
「ねーってばねー!」
「…」
「みーこーとー!聞こえてるんでしょ?ねー!」
「…」
「ねー尊ぉーね「日向ちゃんもうその辺にしときぃ、尊おこんで?」
「むぅ」
赤の王兼彼氏である尊は自由人である。現に今も彼女である私を置いて1人もくもくと朝ごはんを頬張っている。
私は構ってもらうべく尊にひたすら呼びかけるという子供じみたいたずらをしていたところで出雲くんに止められたわけだ。解せぬ。
「尊ぉー、彼女であるこの私をほっておくとはなんたる無礼!赤の王としてどうなのか!」
「それ全く関係ないやろ」
「出雲くんには言ってませんー!」
「はいはい、それは悪うござんした」
「むぅ、解せぬ」
おかしい。何故私は尊でなく出雲くんに子供扱いされているのだ!いや、尊にも子供扱いはされたくないけどさ…
それにしてもこれだけ話しかけているというのに当の本人は全くの知らんぷり。
くそう。
「もう!尊の馬鹿!私そろそろ怒るよ!?浮気しちゃうかもよ!?」
「なんで浮気やねん」
「出雲くんさっきからうるさい」
「いやここ俺のバーやし…」
最後のかけに出ても尊は知らんぷり。
相変わらず朝ごはんを咀嚼している。くそう。様になってるかっこいい。
ぬぬぅ!こうなったら荒療治!
「本当に浮気しちゃうよ!今からホストとか言ってイケイケお兄ちゃんとラブラブしてくるよ!?」
「イケイケお兄ちゃんて…」
「良いの!?本当に行くよ!?女に二言は無いんだよ!?良いんっ!?…ふぁ」
突然尊が動き出して口を塞がれた。
というか、キス、された。
「なっ、な、今、なっ!?」
「うるせぇ」
「なっ!?は!?」
「お前が俺から離れられるわけねぇだろうが」
「なっ!?は、離れ「離れようとしても……離してやらねぇよ」
「…は!?」
口を金魚みたいにパクパクさせて意味のわからない単語しか発せないでいる私に、尊は無表情でそう言ってくる。
「…っ!そ、そんなの!離れるわけないし!尊の馬鹿!イケメン!」
再び朝ごはんを食べ始めた尊に抱きつくまであと、もう少し。
(てゆうかお前ら、そうゆうのは俺のおらんところでやってくれへんか…)
…なんかすみませんでした