賭け
じゃりっ


無機質な音を立てながら荒れ果てた、否、荒らされた地面の上を歩く。


「はは、賭け…私の勝ちだよ…?ほら、早く約束の特大パフェ買って?ねぇ、」


いくら呼んでも返事なんてなく、ただ私一人の大きすぎる心音だけが響く。


_______間に合わなかった。


その事実が私を瞬く間に負のどん底に引き摺り下ろす。


目の前で少し悲しげな顔をして横たわる尊を何も移さないような真っ黒な目で見つめる。


「ねぇ、忘れたの?尊が多々良を殺した相手を殺せたら私の勝ちでしょ?ねぇ、私、初めて勝ったんだよ…?」


尊の前に膝から崩れ落ちる。視界がおかしい位滲み出した。それでも涙なんかこぼしてやるものかと瞬きをせず涙が引っ込むのを願う。


涙なんかながしたら、認めてしまう。尊が、尊が死んでしまったと…


「ねぇ、尊?何で返事しないの?私がいくらうるさくしても、いつも返事返してくれたよね…?」


何を言っても、何をしても返事どころか反応すら帰ってこない。


その時、尊の目尻から涙が伝った。


「尊!?泣いてるの?尊!……あ」


嗚呼、違う。違う。これは私の、涙だ。


尊の目尻にポタリ、と落ちたんだ。そう思った瞬間、堰を切ったかのように一粒、二粒と大粒の涙が落ちて行く。


「尊ぉ…パフェなんかいいから…っ、パフェなんかいいから帰って来て…!」


どれだけ呼びかけても、答えなんて帰ってこない。




_____私は、尊を失った。












(いつも負けてた賭けは)
(負けたい時に)
(勝ってしまった)



…最終回泣きました


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