ストレス蓄積阻止し隊! 「マスルール!あなたはまたそんな所で寝て!風邪を引いても知りませんよ!」 「…はぁ」 「あー!ヤムライハ!それにシャルルカンも!食べ物は投げるものじゃありません!喧嘩は外でやりなさい!」 「うっ、だってジャーファルさんこいつが「だってじゃありません!」 「「はい…」」 「ピスティ!あなたはまた無駄なものを買って!少しは控えなさい!」 「は〜い…」 「あぁぁぁぁああああ!?シン!?あなたなにやってるんですか!」 「ん?なんだジャーファル。街に降りようとしているだけじゃないか!」 「窓からですか…!?白状なさい!執務から逃げようとしているのでしょう!させませんよ!マスルール!シンを捕まえて下さい!」 「…っす」 いつもの様に慌ただしい執務室。いつもの様に慌ただしく注意をして回るジャーファルさん。そんな様子を何時も眈々と作業を続けながら私は微笑ましいなと眺めて居た。 だけど今日の私はいつもと違う。昨日、書庫である本を目にした時知ってしまったのだ。ストレスがたまりすぎると、胃に穴が空くと。 その瞬間、ジャーファルさんは危ない状態なんじゃないかと感じた。そして決心したのです。今日はジャーファルさんの代わりに私が注意して回るんだと! が、私が気づいた時にはすでに遅く、もうジャーファルさんの苦悩は始まってしまっていた。完全に出遅れた。でもいまからでも遅くは無いはず! そう考えた私は、深呼吸を1つ。そして大きく息を吸い込んだ。狙いは窓辺で寝そべり欠伸をもらすマスルールさん。 「あぁもうマ「マスルールさん!シンドバットさんを捕まえたのは良いですが自分までサボろうとしないで下さい!」 「え……」 私が声を上げた途端固まる執務室。それもその筈、私は普段執務中は全くといってもいい程喋らない。 元々ながら作業は苦手なのだ。でも今はジァーファルさんの胃がかかっている。自分のことなど気にしてられない。 まずは寝かけてるマスルールさんの傍に行き腕を引っ張り引き起こそうとした。……まぁ、無理だ。重過ぎて持ち上がらない。 それでも私が眉を寄せて頑張ってるのをみたマスルールさんが自分で起き上がってくれたから良しとする。 マスルールさんが戸惑いながらも執務に戻ったことを確認し、満足して息を吐く。私もまだ終わっていないな、と再び席についた。 と、隙を見つけたのかシンドバット王が窓から逃走を測っているのを発見。ガタン、と立ち上がり心の中ですみません!!と謝罪をしながら持っていたペンを投げつける。 一応シンドバット王には当たらないようにする。当てるのは恐ろしすぎて出来ない。 カシャンと音を立てたのはシンドバット王が手をかけている窓枠。ビクッと反応し、シンドバット王が恐る恐る振り返った先にはジャーファルさん。 残念、私です! ジャーファルさんも驚いているのか、目を丸くしてシンドバット王を見ている。 「シンドバット王、王たる貴方が執務を投げ出すなんてどういう事ですか……? 投げ出した仕事は、誰がなさるとお考えですか……!」 王に物申すのは矢張り少し怖くて、若干震えながらも声を張り上げた。しん、と静まり返る執務室、そして王はそろりそろりと机に戻った。 その様子を横目に、私は達成感に体を粟立たせていた。やりましたジャーファルさん! これで貴方の胃の安寧は守られました! キラキラ輝く目でバッ!とジャーファルさんを見る。その時だ。ジャーファルさんの口からつーっと赤い液体が流れ出した。え 「ジ、ジャーファルさあああああんん!!!」 執務室には私の悲鳴と、ジャーファルさんの倒れる音が響いた。 (怒らせちゃいけねぇ人ってのはああいうのをいうんだ。マスルール) (っす。) (ジャーファルさんしっかりして下さい!!ジャーファルさんんんんん!!) ← |