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攫われた彼女 [ 34/45 ]



寝起きで霞む視界に、スヤスヤと眠るセブルスが映った。

さすがに寝てる時まで眉間に皺は寄ってないみたい。
そのことに小さく笑って、セブルスの頬を突いてみる。


「ん、スズネ…」
「………っ」


もうセブルス、それはズルいよ…。
ニヤける顔をそのままに、セブルスにギュッと抱き着いて目を閉じる。

二度寝からの目覚ましはセブルスの声だった。




***



「セブルス、今日はどうするー?」


卵をフライパンで炒りながら問うと、顔を洗い終えた寝間着姿のセブルスがジロリとわたしを見る。
セブルスがちょっとだけ不機嫌そうなのは、わたしが勝手にセブルスの方の布団に潜り込んだことが原因らしい。

だって寒かったしセブルスと一緒に寝たかったし、と言えば彼曰く『心臓に悪い』とのこと。
どういうことかサッパリだったけど、本気で怒ってるわけじゃないみたいだし今夜も失礼させてもらうことに決めた。


「特にこれと言って予定はないが…って、なんだこれは」
「クリスマスプレゼントじゃない?セブルスのとわたしのが届いちゃってるからこんなにいっぱい!」
「ほとんどスズネのだろう…」


セブルスがさらに不機嫌そうにぼやくと、そのクリスマスプレゼントの山からアクシオで何個か呼び寄せながら仕分けを始めている。

リリーとかレギュラスとか聞こえたからきっと交流がある人からのとそうでない人からので分けてるんだろうけど。
その様子に苦笑して、『アルバスからのやつも別にしておいてねー』と声を掛けておく。



しばらくして、朝食の用意が終わったと同時にボフン!という音が聞え、セブルスの周りには白い煙が漂っているのが見えた。


「ありゃ、まさか…」
「…あのクソ野郎共めッ!」


煙の中から聞えた罵声に、やれやれと肩を竦める。
多分、セブルスが開けたのは”彼ら”からの悪質なプレゼントだ。


「大丈夫?」
「…大丈夫に見えるのか」
「わ、セブルスの髪の毛ピンクになってる。似合わないね」
「似合ってたまるか…!!」


激昂するセブルスの近くに落ちていたカードを拾い上げて中身を見てみる。

”他人への贈り物を勝手に開けるのは罪。よって貴殿にはその罰が与えられる”
その内容を読んで小さく溜め息を吐く。


「From.Magical Mischief-Makers…」


悪戯仕掛人、なんて書いてあるけど十中八九ジェームズとシリウスが主犯だよね。
もー、これ以上セブルスの機嫌悪くさせないでほしいのにー…!
あいつらにやり返してやる、と鼻息を荒くさせるセブルスを止める術もなし。

ジェームズとシリウスは本当にちょっと痛い目見た方がいいんだ一回。
うんうんと頷いて、セブルスの髪にかけられた呪いをフィニートで解いてあげようと思ったけど魔法は使えないことを思い出した。


「とりあえず効能が切れるまではそのままだね…」
「ぐ、クソ…ッ!」
「あの人達に仕返ししてやろうよ、セブルス」


まさかわたしもそのやり返しに加担するとは思ってなかったのか、セブルスは少し驚いてたけど般若のような表情をちょっとだけ緩めてくれた。


「でもまずは朝ご飯!」
「…ああ。そうだな」


セブルスが理不尽にそういった悪戯を受けるのは、わたしだって気に食わない。

でも、なんでだろうなあ。スリザリンとグリフィンドール、っていうのを抜きにしてもセブルスとあの2人はすごく仲が悪いし嫌い合ってるのが分かる。
ジェームズ…は単純に、自分の好きなリリーとセブルスが幼馴染で仲良しだからやきもち妬いてるとか?でもシリウスは?…んー、謎。

それにあの2人、別に根っから性格が悪いとかそういうのじゃないんだけどちょっと自信過剰で傲慢なところがあるからそこはかなり問題あるし…。

まあ、何にしてもまたセブルスに対して何かしようものならわたしは黙ってない。
とりあえず今回はただ髪の色が変わるくらいのものだったからいいけど、怪我なんてさせようものなら…多分、いや絶対キレる。


「リーマスに相談して牽制しておいてもらおうかなあ…」


プレゼントをごっそり端に寄せて椅子に座るセブルスの姿を見ながら、そう呟いた。



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