親世代A | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
2人きりの休暇 [ 30/45 ]



***



「スズネ先輩、また手紙を書きます。あと、その…」
「スニッチクッキーでしょ?もちろん作って送る!」
「は、はい…!」


ホグワーツは明日からクリスマス休暇に入る。
去年はホグズミード駅でお別れだったけれど、今年はセブルスの家に行くからキングス・クロス駅でのお別れだ。

先日のスリザリン対グリフィンドールのクィディッチ杯では、見事レギュラスがスニッチを捕まえたことによりスリザリンの勝利に終わった。
その試合の前に、レギュラスにスニッチ型のクッキーを作ってあげたら『スニッチを掴めたのはスズネ先輩とクッキーのおかげです!』なんて言ってそのクッキーがお気に入りになってくれたらしい。

それは嬉しいことだけど、レギュラスがスニッチを掴めたのは他の誰でもなくレギュラスの力あってこそだと思う。


「それにしても、セブルス先輩の家に泊まりだなんて…」
「何を不満そうにしてるんだ」
「不満というよりも僕は心配してるんです。スズネ先輩が食べられてしまわないかと、」
「ん?わたしがなんて?」
「ッ何でもない。…レギュラス、余計なことを言うな!」


何やら慌てるセブルスにニヤリと笑ったレギュラスは、迎えが来たらしく”また休暇明けに!”と手を振って去って行った。
レギュラスはなんて言ってたんだろう。

首を傾げながら手を振っていると、駅のホームの柱の後ろで揺れる赤い髪が目に入った。


「…リリー、何で隠れてるの?」


ヒョコッとリリーの傍に顔を出せば、相当驚いたらしく大きな悲鳴を上げて尻もちをついてしまっていた。

わ、リリー!スカート履いてるからパンツ見えそうじゃん…!
わたしは手に持っていた大きめのブランケットをリリーの下半身にふわりと被せて、そのままお姫様抱っこして立たせてあげる。

リリーは可愛いし綺麗だから、もしかしたら変な奴が写真とか撮るかもしれないしね。うん。


「スズネ!貴女ほんっとうにかっこいいわね…!もうセブルスはやめて私と付き合いましょう!?」
「ええっ?」
「なっ、僕は認めない…!」


頬をピンク色に染めてわたしの手を握るリリーに困惑していると、セブルスがそれをビリッと引き離す。
バーバーと言い合いを始める2人に、わたしはホッと安心した。

最近、セブルスとリリーが前よりも会話が減ったり顔を合わせることが少なくなったように感じていたから。
それこそセブルスとわたしが付き合い始めてからは、リリーはたぶん気を遣って3人でいる時間を減らしてくれてたんだと思うんだけど。

それが嬉しい反面、なんだかリリーと距離が空いてしまったようで少し寂しかった。


「スズネ、セブルスのところが嫌になったら私の家に来なさいね?両親もまた会いたがっていたわ」
「ホント?セブルスのところが嫌になることはないけど、休暇のうちにリリーにも会いに行くよ!」


そう言ったらリリーは嬉しそうに笑って、迎えにきた家族と一緒に去って行った。
その背中にまたヒラヒラと手を振っていれば、手をセブルスに掴まれる。


「…僕たちも行くか」
「うん!あ…セブルスの手、冷たいね」
「繋がないでおくか?」
「ううん。わたし体温高いから、あっためる」


ギュッと繋がったセブルスとわたしの手。

セブルスと一緒に休暇を過ごせるなんてすごく幸せだなあ。
そう思いながら、繋がれた手を見つめて微笑んでいればセブルスが小さく吹き出した。


「え、なになに」
「…いや、スズネの顔がどんどんニヤけていくのが面白かった」
「ニヤけてた?」
「それはもう」
「…だって、嬉しいし幸せじゃん。大好きなセブルスと一緒にいられるの」
「………」
「あれ?セブルスもニヤけて、」
「っ気のせいだ」


こうして、今年のクリスマス休暇がスタートした。




[*prev] [next#]
top