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甘くなる日々 [ 23/45 ]


 
グツグツ煮えたぎる鍋から透明の液体を掬い、細長い試験管に注ぐ。
その試験管の中にひと摘まみの藁が入ると、プスリと青白い煙を立てて消えた。


「ふむふむ、よろしい…」


魔法薬学教授のスラグホーン先生が小さく試験管を揺らしながらその様子をジーッと眺め、そしてニコリと笑う。


「―…合格だ!」
「…ッ!やったー!」


嬉しくて思わず隣のセブルスに勢いよく抱き着くと『危ないだろう!』と怒鳴りながらも、ギュッと受け止めてくれた。
少し赤くなったセブルスの顔が見えて、それがうつったようにわたしの顔も熱を持つ。

今わたしがしていたのは、魔法薬学の課題提出。
わたしの魔法薬学においての成績が著しく低いということを聞きつけたミネルバに怒られて『スラグホーン先生から出された課題を合格できなければ、次の休み返上で補修です!』と言われてしまったのが一週間前のこと。

せっかくの休日なのに苦手な魔法薬学の補修だなんて何が何でもしたくない、とそれからの一週間、教室を貸してもらってセブルスに色々と教えてもらい。
最終的には1人で調合をこなして、完璧な生きる屍の水薬を完成させることができた。


「ほほ。仲が良いね、君たちは。そんな風に見せつけられてしまっては私も目のやり場に困るというもの」
「恋人同士の仲が良いのは普通ですよね?」
「なっ、スズネ!余計なことは言わなくていい…!」
「なるほどなるほど、そういうことだったのだね」


さっきのニッコリ笑顔とは少し違うニンマリとした笑顔を向けてくるスラグホーンに首を傾げていれば、セブルスが慌ただしくわたしの手を引っ張った。


「…僕たちはこれで失礼します」
「え、あ!先生、ミネルバにちゃんと合格って言っておいてくださいねー!」




***



セブルスと手を繋いだまま教室を出ると、ヒュン!と勢いよく何かが目の前を横切った。


「び、っくりした…」
「スズネ先輩!とセブルス先輩」
「僕はついでか」


何か、の正体はレギュラスで寡黙な彼には珍しく、興奮したように息を荒くさせてほんのり頬をピンク色に染めてグッと両手は握り拳を作っている。

こんな様子のレギュラスは初めて見た。


「僕、スリザリンのクィディッチの選手に選ばれたんです…!」
「………っ!!お、おめでとレギュラス…!!」


はい!本当にうれしいです!と少し涙声で言ったレギュラスはそのままわたしにタックルするような感じで抱き着いてくる。
そんなレギュラスをわたしから引き剥がそうと頑張ってるセブルスだけど、レギュラスはビクともしていない。

え、まさかレギュラスの方が力強い?セブルスより。
レギュラスが強すぎるのかセブルスが弱すぎるのか分からないけれど、満足しただろうレギュラスがわたしから離れる頃にはセブルスは疲れ果てて近くのベンチに腰かけていた。


「セブルス、大丈夫?」
「…大丈夫なわけがあるか」
「怒ってるの?」
「君は軽々しく僕以外に身体を許すんだと思ったらな」
「な!?そんなことない!わたしが特別に想ってるのはセブルスだけだよ…!」
「本当か…?」
「もちろん!」
「…なら信じる」
「セブルスのこと、ちゃんと大好きだからね」
「…ああ。僕も」


微笑み合って数秒後、わたしとセブルスの間にサッとレギュラスの壁ができる。


「目の前でイチャつかれて腹立つので、覚えたての呪文試してみてもいいですか?セブルス先輩に」
「何故僕だけなんだ…!」
「当たり前じゃないですか!僕がスズネ先輩にするわけないでしょう!?」


本当に仲が良いなあ、と呟くと『良くない!』とふたりから怒鳴られてしまった。



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