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攫われた彼女 [ 36/45 ]


**(セブルス視点)



突然現れた男にスズネが連れ去られた。
鬱陶しい手紙の嵐が止み、それと同じくして彼女の声も姿もこの部屋から消えた。

どうすればいい。探す?どうやって。
あいつがどこへスズネを連れて行ったのか、皆目見当もつかないのに。

焦燥と不安でサーッと体温が下がっていき、冷や汗が出てくる。


「………っ」


スズネの保護者は確かダンブルドアだ。
今すぐにでも彼に報告してスズネの行方を捜してもらうしか…。

そうと決まればとガチャガチャとテーブルの中を荒らして、手紙など滅多に書くことがないために奥に仕舞ってあった便箋を取り出した。
ところどころ綴りを間違えたりもしているが気にしている場合じゃない。

スズネに何かあれば僕は…!

―…ピーンポーン。


「……、?」


不意になったインターホンの音。
そういえば午後からリリーが来るとかなんとかスズネが言っていたのを思い出す。

リリーには申し訳ないが今はそれどころじゃない。
きっとスズネが攫われたなんて彼女に伝えれば今以上に面倒なことになりそうだ。
僕は足早に1階へ下りていき、玄関のドアを開けた。


「―…やあ、セブルス。久しいな」
「は、…ルシウス先輩…?」


その場にいたのは赤毛の女ではなく銀髪の男、ルシウス・マルフォイ。

何故彼がここに…?
その疑問が浮かぶと同時に、思い当たる。
そういえばあの大量の手紙は全てマルフォイ家の…。


「、っスズネをどこへ連れて行った…!」


ギリリと奥歯を噛み締めて思い切りルシウスを睨み、杖を向ける。
未成年者が学校の外で魔法を使うことが禁止されていることを知っている彼は、僕が魔法を使えないと分かって余裕の笑みを浮かべていた。


「焦る必要はない、セブルス。彼女は今、我がマルフォイ家の屋敷にいる」
「…な、んの必要があって…!」
「ある方が彼女に興味をお持ちの様子でね…」
「………っまさか、」


真っ先に思い浮かんだのは、今魔法界を揺るがしている集団の中心人物。

レギュラスがよくその人物の記事をスクラップにしてたから、覚えている。
まさかどうして、何故。そんな人がスズネの存在を…。


「おっと、ここで無駄話をしている時間はないのだった。セブルス、君にも来てもらうことになっている。…付き添い姿くらましは初めてかな?」


ルシウスが差し出してきた腕に、迷いなく手を乗せる。
僕”にも”来てもらうことになっている、ということは彼についていけばスズネと再会できるということだ。


「最初からこのようにすんなりと我が家のパーティーへ参加してくれていれば、こんな無理やり連れ去る必要もなかったのだけどね」
「…そこまでしてスズネに興味を示している理由はなんだ」
「さあ、行こうか。バラけたくなければしっかり掴まっていなさい」


肩を竦めたルシウスへの問いは無視され、グルリと視界が回り、バシン!という破裂音と共にその場から消えた。



(愛しい者の行方)


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