親世代A | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
恋人と少女の消失 [ 21/45 ]



ここに来る前、セブルスも一緒に来ないかと誘ったけどエイブリーやマルシベール達と用事があるみたいで断られてしまった。

この間みたいに避けられているわけではないみたいだけど、相変わらず何の用事なのかは分からず仕舞いでモヤモヤする。


「聞いたら教えてくれるかなあ」


ポツリと呟いた言葉が突然吹いた強い風にかき消されていく。


「スズネ」
「…っ、!」


その風の中でもハッキリと聴こえたのは、セブルスがわたしを呼ぶ声。
バッと振り返ると、髪がボサボサでローブとかも乱れててハアハアと呼吸を荒くしたセブルスが立っていた。

全力疾走してきました感の半端ないセブルスの様子に面食らっていると、セブルスは息を整えながらキッとわたしを睨む。


「…っ探した」
「え、ハグリッドと森で薬草摘み言ってくるって言ったよね?」
「僕はマダム・ポンフリーの手伝いで薬草摘みに行くということしか聞いてない」
「あ、あれ?そうだったっけ…ごめんセブルス」


大きく溜め息を吐くのを合図に、セブルスの眉間に深々と刻まれていた皺が徐々に解れていった。


「エイブリーとかはいいの?」
「…スズネが目の届かないところにいると、妙に落ち着かなくなって抜けてきた」
「大丈夫だよ!浮気なんかしないから。わたしはセブルス一筋!」
「なっ、そういう意味では!……いや、そういうことなのか?」
「変なセブルスー」


あはは、と笑えばセブルスも頬を緩めて微笑んでくれる。

セブルスの良さをみんなに分かってほしいと思う反面で、こんな表情を見せるのはわたしだけにしてほしいなんて独占欲がわいてしまう。
だってセブルスのこんな微笑み見たら、みんな好きになっちゃうかもしれないしそうなったら嫌だ。


「スズネ…」
「ん?」
「触れてもいい、か?」
「?そんなの聞く必要ないじゃん。セブルスならいくらでもどうぞ」


はい!と両手を広げてみると、セブルスはおずおずと手を伸ばしてきてそのままわたしの頬にそっと触れた。

触るってそこ!?てっきり手とかだと思ったんだけど…。
予想外のことに急に恥ずかしくなってきて、グングンと身体の熱が上がっていく。
近付いたセブルスとの距離にバクバクと心臓の音も煩くなった。

ギュッと瞑ってしまっていた目を開いて、セブルスを見上げてみたら目が合ってすぐにもう片方の手で視界を塞がれる。
ま、まさかこれってもしかしてー…!


「せ、セブ…。チュー、するの?」
「………嫌か?」
「嫌なわけない、けど…」
「………」
「は、初めてだから…優しくして?」
「……〜っ!」


あ、あれ?セブルスからの反応なくなっちゃった。
優しくしてって変だったかな?そもそも優しくないチューとかあるのかな?わたしなんか言うこと間違えた!?

ヒィヒィ悩んでる間も、視界は奪われたまま。
それからチョンと鼻に触れたのは…きっとセブルスの高い鼻。

さっきから煩く鳴りっぱなしの左胸ら辺の服をギュッと握って、唇にセブルスのそれが触れるのを待った。


「―…何それ意味不明なんですけどおおお!」
「「……っ!?」」


聴こえてきた叫び声にビクリと身体を跳ねさせると、セブルスがわたしから離れたせいか視界が戻る。

セブルスと顔を見合わせて声の聴こえた方を見てみると、そこには怒ったような困ったような顔をしたサクライさんがいた。


「サクライ?」
「サクライさん、何でここに…」

「訳分かんない何この親世代。セブルスはリリーのことが好きなんじゃないの!?セブルスのリリーへの愛がなかったら子世代が成り立たないじゃん!そもそもスズネなんてキャラの名前聞いたことないし、超重要キャラであるセブルスがモブと両想いになるとかあってはならんでしょう!?少なくともヒロインであるあたしとならまだしもさあ!どういうこと!?」


わたし達を無視するように、ほとんど内容の理解に苦しむような言葉をつらつらと早口でぼやくサクライさん。

何て声をかけていいか分からない。
所々に出てくる単語も、何のことを言ってるのかサッパリだった。


「ちょっと赤眼!あんた何者なの?もしかしてあんたもトム・リドルと同じで蛇語話せたり、特別魔力が強かったりするわけ!?そんなおいしい設定、なんでヒロインであるあたしじゃなくてあんたに…!」
「ぐっ…」
「…ッスズネを離せ!」


いきなりサクライさんに胸倉を掴まれ、畳み掛けるようにして何故か責められる。
それに抵抗しようとする前に素早くセブルスが杖を構えているのが目に入り、そして今にも何か呪文を放ちそうだった。



[*prev] [next#]
top