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闇への誘い [ 35/38 ]



バレンタインも無事終わり、ホグワーツはもうすぐイースター休暇に入ろうとしていた。

イースター休暇はクリスマス休暇ほど家に帰る生徒が少ないようで、それに伴い今回はリリーもセブルスもホグワーツに残るみたい。

休暇に入る前にレギュラスからパーティーに招待されたことをアルバスに相談しにいこうかな、と考えながらトーストを口に詰め込んでいるとホウとフクロウの鳴き声が大広間に響いた。


「珍しいな、この時間に」


セブルスが隣で呟き、一体誰への手紙なのかと誰もが注目する中で、その手紙が落とされたのはなんとわたしの目の前。

手紙1つでこんなに注目されるなんて思ってみなかった。
わたしは他から向けられる視線に居心地の悪さを感じながら、ゴクンとトーストを飲み込んだ。

嫌な予感しかしないんだけどなあ…。
チラリとセブルスに目を向ければ「開けないのか?」と返されてしまう。


「開ける、けど…後でにする」


ここで開けるのは何故か躊躇われた。

だってわたしへの手紙なのにこんなにみんなに見られてたら、なんだか内容まで伝えなければいけないような気になっちゃうし…。


「あちっ…」


とりあえずご飯食べたら、と手紙のことを考えながらコーンスープに口をつけたら舌を火傷した。




***(セブルス視点)


スズネの私室に入るのはこれで3度目くらいか、と僕は変わり映えのない小奇麗な部屋の中を眺めた。

クリスマスの日に初めてここへ来たときと違うのは、まだ封の開けられていない大量の菓子類や、ぬいぐるみなどが一ヶ所に纏めて置かれていることくらいか。
クリスマス、そしてバレンタインとファンとやらからの贈り物も多くリリーの厳しい審査を通りやっとスズネの手元へと渡った物たちだ。


「セブルス、これ誰だろう。ルシウス…マルフォイ?」
「ぶふっ…!」
「うわ、ちょ!汚いなー!」


とんでもない名前がスズネから飛び出し、驚きのあまりで紅茶を盛大に吹き出した。
顔にかかった、と睨まれて僕は慌てて杖を振る。


「…で、なぜスズネがルシウス先輩を知っている?」
「先輩?この人、ホグワーツの生徒?」
「いや今はもう卒業している。…まさかその手紙は、」


スズネが渡してきた封筒には確かにルシウス・マルフォイと記名がされていた。

どこであの人と知り合ったんだ?
しかしスズネはあの人を知っていないようだし…。
ハッ!まさか道で見かけたスズネに目をつけて彼女を特定し、わざわざここまで手紙を送ってきたと?


「おーい、セブルスー。なにブツブツ言ってるの?」
「あ、いや…なんでも。とりあえず読んでみたらどうだ」


内容はこうだった。

『麗しき赤眼の美少女 スズネ。
やあ、いきなりの手紙で驚かせてしまったかな?
あの日ノクターン横丁で君と出逢った時から、私の心は君に囚われてしまったようだ…』


「ノクターン横丁!?おまえはそんな所に行ったのか!」
「え、あーいや!だって猫ちゃんに鍵とられて仕方なく…!」


ミネルバにもこってり叱られたんだからもうやめて、と泣きそうなスズネに溜め息を吐く。

それよりもルシウス…あの人には婚約者がいてもうすぐ結婚すると聞いている。なにが心が囚われただふざけるな。


『そこでだ、私は何としてもまた君と会う機会が欲しい。
イースター休暇の時期にちょうど盛大なパーティーが催されるのだが、ぜひ君にも参加してほしいのだよ。
YESの返事がきたらすぐにスズネ用のドレスやアクセサリーを贈らせてもらおう。ではまた、パーティーで』


最後まで読み終えてすぐに手紙を燃やそうとした。

マルフォイ家、そしてレギュラスのブラック家は確実に闇側の勢力だ。
そんな危険人物が大勢いるようなパーティーにスズネが参加させるとなれば、僕もだがきっとダンブルドアもリリーも黙ってはいないだろう。


「パーティーか。レギュラスに誘われてるし、この人のはお断りしようかな」
「そうしろ。ついでにレギュラスのパーティーへの参加も、僕はやめた方がいいと思う」
「え、どうして?」
「…とりあえず、校長に聞いてみるんだろう?行くぞ」


ダンブルドアなら絶対にOKを出すはずがない。

ルシウス先輩がスズネの容姿だけでパーティーに誘うほど入れ込むのも不可解だ。
ノクターン横丁で何があったかは分からないが、もしスズネの魔力が強いこと等に気付いてしまったのだとしたら…確実に闇に引き込もうとするだろう。


「………っ」


闇が嫌いなわけじゃない。闇の魔術は僕を強くしてくれる。
…しかしスズネには闇に染まってほしくはない。


「何がしたいんだ僕は…」


あと4年後、ホグワーツを卒業する時、僕やスズネはそれぞれどんな道を歩むのだろうか。

それを考えたら少しだけ怖くなった。



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