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休暇明け [ 32/38 ]



クリスマス休暇が明けて、生徒たちがホグワーツへと戻ってきた。

リリーはプレゼントしたヘアピンのついた赤い髪を揺らしながら、わたしを見つけるとすっ飛んできてギュウっと痛いくらいに抱き着かれる、


「スズネ!会いたかったわ!プレゼントもありがとう。とっても可愛くて気に入ったわ!…あら?私があげたグロスはつけてくれてないのね」
「特別な時にだけつけようと思って。せっかくリリーがくれたのに、あんまり使いすぎてすぐに無くなっちゃうって考えるとなんだか勿体なくて…」


抱き締める腕にさらに力が加わり、朝食べた物が出そうになりそうなところでセブルスが助けてくれた。
リリーって本当に見た目からは想像できない程の力持ちだ…。


「クリスマスの時に使ったよ。セブルスも似合うって」
「…へえ〜?」
「っ、なんだその目は…」
「別に?…うふふ」


何やらニヤニヤしながらセブルスを見るリリーと、顔を赤くして狼狽しているセブルス。
よく分からないけど、やっぱり友達仲良しっていいなあ。

微笑ましく2人を見ていると、いきなり頭上でパァン!と大きな破裂音がした。


「びゃ…っ!」
「ちょっと、何の音!?」


モクモクと漂う煙に視界を奪われて、動けずにジッとしていると仄かに香ったのは花の匂い。
なんか、良い匂いがするー…。
セブルスからもらった羽ペンは今持ってないし、何の匂いだろうか。

しばらくして煙が晴れ、目をパチクリさせる。


「やあ、ユキシロ。僕からのプレゼントは気に入ってくれたかな?」


聞いたことある声が聴こえて、振り向いた。

そこにいたのは丸眼鏡にくしゃくしゃの黒髪の彼。
ジェームズ・ポッターはニコニコ笑顔を携えながらわたしの目の前にいた。

彼の後ろには呆れ顔のシリウスと、控えめに手を振っているリーマス、そしてキョロキョロと挙動不審なペティグリューも。


「まさか君からもクリスマスプレゼントをもらえるとは思ってなくてね。それは僕からのお返しだよ!」
「…でも、わたしもらったけど。電気入りの飴」


悪戯仕掛人からのプレゼントは、口に入れた瞬間に身体中に電流が走るというヘンテコな飴だった。

何も知らずあれを口にしてしまった後はしばらく身体の痙攣が止まらなくてなかなか辛かったのを思い出す。
シリウスには笑われて、それにセブルスが怒って、リーマスは謝ってきて。
彼らにしては控えめな悪戯だなあ、と特に気にしてもなかったけど。


「あー、アレだけじゃ君がくれたものとちょっと釣り合いがないと思ったからね。うん。僕が思った通り似合ってるね!」


そう言う彼の視線を辿れば、自分の頭の上に何か乗っているみたいだった。
見たいけど見れない。
そして頭に伸ばそうとした手をパシリと誰かに握られる。


「…危ない。棘があるかもしれない」
「見くびらないでくれるかい?スニベルスくん。棘は全て取り除いてあるんだけど」


スニベルスとセブルスを呼ぶポッターを思わず睨むと、リリーも同じことをしたみたいで
彼はバツが悪そうに頭をかいた。


「美人2人からの睨みは迫力があるなあ…」


何か呟いたポッターも気になるけれど、自分の頭に何が乗っかっているかの方がよっぽど気になる。
わたしの手を握ったままのセブルスを見つめると、彼はハッとした表情をして手を離した。


「薔薇の花冠ね。ポッターからっていうのが気に食わないけれど、すごく似合ってるわスズネ」


リリーがうっとりとした顔でわたしを見る。

この良い匂いは薔薇の匂いだったんだ。
棘はないらしいし、と頭の上に手を伸ばせば柔らかい花弁らしきものに手が触れた。


「それ半永久的に枯れないように魔法をかけてあるんだ。飾ってももちろんいいし、小さめにできてるから髪飾りにも使えると思うよ」
「…ありがとう、ポッター」


頭から外した花冠は確かに少し小さめで、所々に白い真珠が散りばめられている。
とても可愛いし、真っ赤な薔薇がすごく綺麗。

わたしがお礼を言うと、ポッターは少しだけ悲しそうな表情になって目尻を下げた。


「できればジェームズって呼んでほしいかな。シリウスやリーマスと仲良くなったみたいだし、僕だけファミリーネームなのはちょっとなあ…なんて」
「ちょっとポッター!」
「ああ、もちろんリリーにもジェームズって呼んでほしいよ!大丈夫さ、僕が好きなのはリリーだから!」
「そんなこと聞いてないわよ!…スズネ、いいのよ無理に呼ばなくても」


リリーはそう言ってポッターにあっかんべーする。
そんな姿も可愛いよ!と大して気にした様子もなく目をハート(そう見える)にするポッターは色んな意味ですごい人だ。

わたしは、んー…と考えながらふとセブルスを見た。
腕を組んで指をトントンと忙しなく動かしている彼は、とても不機嫌そうに眉間に深い皺を刻んでいる。


「セブルスのこと、スニベルスとか変な呼び方しないって約束してくれるならいいよ。もちろん、シリウスも」
「…は、俺?」
「うん。シリウスもセブルスに悪いことしたり言ったりしたら、嫌だって言われてもブラックで呼ぶから」
「ぐっ…」


努力する、と溜め息混じりにハモるポッターとシリウス。
それからジトリとセブルスのことを睨んでいたけど、セブルスもそれに負けないくらいの眼光で睨み返していた。

本当に仲悪いんだね。
わたしはリリーと顔を合わせて息を吐いて小さく笑う。


「スズネ、授業が始まる。行くぞ」
「あ、うん。じゃあまたねリリー。リーマス、シリウス、ジェームズ…ええっと、ピーター!」


なんだか面倒になってこの際だからペテジグリューも名前でいいやと名前を呼び、セブルスと一緒にその場を後にした。



それから廊下で偶然すれ違ったレギュラスに、リリーと同じような言葉をかけられてそのまま抱き着かれそうになり。
そんなレギュラスに足を引っ掛けて転ばせたセブルスに、杖を向けようとするレギュラスをなんとか落ち着かせて。

わたしのプレゼントが本当に嬉しかったと目をキラキラさせて言ってくるレギュラスにホッと息を吐いた。

リリーもセブルスもレギュラスも。
大好きな友達がこんなに喜んでくれるなら、毎日クリスマスでもいいななんて思った。



(大切な人が増えていく)


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