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仲直りの一歩 [ 13/38 ]




中庭での出来事があってから、スズネは魔力コントロールの修行を本格的にしたいとダンブルドアへ頼み込んで週2回程度の個人授業を校長とマンツーマンで受けるようになった。

セブルスも、自分の中での魔法の知識や魔法の創造など自分自身の魔法使いとしてのレベルアップを図るためにいつも以上に本の虫となって暇があれば図書館に籠るように。

今までより一緒にいる時間が減っていたが、お互いに空いている時間でそれらのことを行っていた為に今までと同じように授業は一緒に受けていたし食事も一緒に摂っていたので2人ともあまり気にしていないようであった。

あくまでもスズネとセブルスの2人は、だが。



***


「もう、なんであなた達最近バラバラで行動してるのよ」


見付けるのに苦労するじゃない、と不満を露わにするのはリリー。
来週の土曜日に迫ったホグズミード行きの予定を立てようという彼女の提案で、スズネとセブルスは空き教室へと徴集されていた。

椅子に座って足を組み、さらに腕組みをして溜め息をついているリリーはさながら女王様のようでスズネは苦笑している。


「最近ちょっと忙しくてさ」
「勉強なら私も一緒にするわよ。スズネは呪文学や変身術は問題ないけれど、選択教科はてんでダメじゃない。魔法薬学なんて目も当てられない」
「うぐっ…」


リリーからの容赦ない鋭い指摘に、スズネは何も言い返せなくなり「やっぱりちゃんと勉強もしないとマズいよね…」と肩を落とした。


「で、セブは?」
「…僕は調べたいことや知りたいことが山積みで図書館に、その…」
「引き籠ってたわけね?幼馴染である私やスズネを放置してまで調べものなんて、とても勤勉なのね。恐れ入るわ」
「………ッ」


セブルスの頬に僅かに汗が滲んだ。

リリーは今、相当機嫌が悪いらしい。
普段は気の強く優しい彼女がここまでの皮肉や嫌味を交えた言葉を吐いてくるのを見れば、それはすぐに分かることだった。

スズネは初めて見るリリーの様子に戸惑い、リリーに後ろから抱き着きながら「リリーごめん怒らないでー」と半ば涙目になりながら謝罪を繰り返している。

スズネに抱き着かれたリリーが満更でもなさそうに頬を赤くしているのを見て、少しは機嫌がなおったようだとセブルスは小さく息を吐いた。


「少し言い過ぎたわ、私もごめんなさい。ほら、私だけ寮も違うじゃない?疎外感を感じて、その…寂しかったのよ」


そう言ったリリーに、スズネはホッと安心する。
彼女の中で、いないと寂しいと思ってもらえる存在になれていることが嬉しかったからだ。

正直に言えば、リリーには他にもたくさん友達がいるから自分との時間が減っても彼女には特に影響を及ぼさないだろうと軽く思ってしまっていた。

ごめん、とまたスズネが謝ればリリーはふと目元を緩ませて最初より少しだけ伸びたスズネの前髪をいじりながら笑う。


「ところでさ、ホグズミードって?」
「魔法使いの村よ。3年生になればホグズミードへの外出許可がもらえるの」
「魔法使いの村かあ」
「リリー。僕は、」
「―…セブルス、何か言った?」

「…何でもない」


ホグズミードへの外出になどさほど興味もなかったセブルスが誘いを断ろうとすれば、リリーはニッコリと笑ってそれを阻止した。

その日はまたいつものように本の虫になるつもりだったのだろうセブルスの予定は崩れ去ることになり、ガックリと肩を落とした彼。
しかし、友人とどこかへ出掛けるということが初めてということもありリリーやスズネと外出をすること自体は嫌なことではない。

本なんてまあ…いつでも読めるものだし、と自分を納得させる。
それから「友達とお出掛けなんて初めてだー」と嬉しそうに微笑むスズネが目に入り、セブルスは表情をふと緩めた。


「でも、ホグズミードまではあと1週間もあるから少し不安ね。きっとスズネと一緒に行きたがる人はたくさんいるもの」
「…?何が不安なんだ?」
「スズネってきっと押しに弱いと思うのよ。一見クールでカッコイイのに。まあそんなところもギャップがあって可愛いから私は好きだけど。ああ、それと…」
「リリー…」


スズネを溺愛しているリリーの、彼女に対する『語り』が長々と始まり出しセブルスは眉間を押さえながら溜め息をつく。


「リリーもそうだし、他の女の子からもかっこいいとかすごく言われるんだけどさ。わたしのどこがかっこいいんだろう」
「…さあな」
「髪短いから?髪伸ばすと手入れが面倒で短くしてたんだけど、伸ばしたらいいのかな」
「髪型の問題じゃないだろう…」

「んー、わたしからすればセブルスの方がよっぽどかっこいいと思うんだけどな」
「………っ、」


からかってるのかと文句を言いたくなったセブルスだが、向けられたスズネの瞳に嘘は見受けられなくて顔に熱が集まり出す。

かっこいいなんて初めて言われた、とセブルスが両手で顔を覆えばそれを見つけたリリーは「照れてる照れてる」と面白そうに笑っていた。


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