親世代@ | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
あったかい場所 [ 3/38 ]




「おや、おかえり。スズネ」


行きと同じように煙突から帰ってきたスズネとマクゴナガルを笑顔で出迎えたのはダンブルドアだ。

この人も、マクゴナガルと同じ目をしてる。
初めて会ったときから自分に向けられていたその暖かな眼差しに、最初こそ不快だったものの今は少し気恥ずかしくむず痒い気持ちにさせられる。

スズネはそういった感情に戸惑いながらも、小さく「ただいま」と返事をした。


「初めてにしては上手くできたようじゃが、少し汚れてしまったのう」


ダンブルドアがクスリと笑って杖を振ると、スズネの服についていた煤汚れを綺麗にする。

ジーンズから汚れがとれたのを、スズネはジッと見つめていた。

強い魔力を持って生まれてしまったが故に同じく魔力を持つ人からすら恐れられ、嫌われて。
魔力なんて無ければこんな辛い思いしなくて済んだ、と魔法も魔法使いも好きにはなれなかった。

魔力なんていらなかった、魔法使いになんてなりたくなかった。
それは今も変わらずに思っている。
…だけど、この人たちが一緒ならきっと何かが変わるような気がした。

スズネは両手に抱えた紙袋をキュっと抱きしめる。


「スズネ、何とも面白いものを持ってるのう」
「え、あ…これ?」
「いかにも。それは百味ビーンズじゃ。ほれ、ミネルバも一粒」
「…アルバス」


マクゴナガルは呆れたように溜め息を吐きながらも、ダンブルドアに促されてスズネの持つ小さな箱から一粒ずつとる。

スズネもクリーム色の粒を一つとり、口に入れた。


「なんと、靴下味じゃった!」
「これは桃味ですね。私の勝ちですよ、アルバス」

「……おえっ」


思わず吐き出しそうになるのを我慢する。
百味ビーンズってこんなにまずいものなの!?

スズネが顔を歪めているのを見て、ダンブルドアは愉快そうに笑う。


「百味ビーンズの洗礼を受けたようじゃの。君が食べたのは…ふむ、腐った卵味じゃ!」
「スズネ、これに懲りたらそういった菓子は控えるようになさい」


ダンブルドアもマクゴナガルも、笑顔だった。
そしてスズネも。


「ふ、あはは…!まずいけど面白いこれ」
「…!」


スズネがホグワーツへ来てから初めて見せる無邪気な様子に、ダンブルドアとマクゴナガルは目を見開いて顔を見合わせた。

傷付いて凍りかけていた少女の心を、こうして少しずつでも溶かしていければいい。


「ミネルバ、こっちも食べてみて」
「スズネ、これから夕飯です。それ以上お菓子を食べるのはおやめなさい」
「…おや?ミネルバだけ抜け駆けはずるいのう。スズネ、わしのこともアルバスを呼びなさい」

「分かった、アルバスだね」


綺麗に笑うスズネには、闇より光がよく似合う。

特段甘やかしてしまいそうじゃのう、とダンブルドアは自分の髭を撫でながらそう苦笑をした。


(少女の赤は太陽の色)


[*prev] [next#]
top