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想う気持ちと変化 [ 12/38 ]




一方、中庭に取り残された悪戯仕掛人である彼ら。

マクゴナガルがこの場を去った後、ジェームズがローブについた汚れをパンパンと払いながら立ち上がった。


「あーあ、かなり減点されたね。マクゴナガル先生、機嫌悪かったのかな」
「平等じゃねーだろ。なんで俺らだけ…」

「僕は、妥当だと思うけど」


リーマスの言葉に顔を顰めたシリウスは、反論しようと思ったができなかった。

大切な友達を傷付けないで、と怒ってるけど悲しそうに訴えてきたスズネの表情が彼の脳裏に残っていたからだ。


「黙って見ていただけの僕が言えることじゃないけど、少し控えたほうがいいと思う。友達が、誰かを傷付けてる姿なんて見ていて楽しいものじゃないからね…」


困ったように笑うリーマスに、ジェームズとシリウスはグッと拗ねたように唇を噛んだ。

本当は分かっていた。
スズネが悪くないことくらい。

きっと自分たちも、自分の友達が誰かに傷つけられたりしたら怒って仕返ししてやろうって気持ちになる。
彼女も、スズネもそれと同じだったのだ。


「ほーんと、ユキシロも厄介な奴と仲良くなってくれちゃったよなぁ…」


ジェームズの呟きに全くその通りだ、とシリウスも唸った。


「…でも、そうだな。彼女の言ってた人を笑顔にする悪戯っていうのをこれからはもっと考えてみるってのはどう?」
「今までだって俺らの悪戯で笑ってる奴らけっこういた気がするけどな」
「んー、大嫌いとか言われたし悔しいから…僕たちの仕掛けでまずはユキシロを笑わせることを目標にするとか!」


セブルスやリリーと一緒にいる彼女がとても楽しそうに笑っているのを、何度か遠巻きに見たことがある。
そして、スズネがあそこまで感情的になり魔力を暴走させるほどに彼女にとっての『友達』という存在がとても大切なものなのだと分かった。


「そもそもホグワーツの人気者の友達がスニベルスってのもなんか癪だし、僕はユキシロと『友達』になってみたい」


目に涙を溜めて、自分たちを大嫌いだと言った彼女。

友達という関係になることが出来たのなら、彼女はさっきセブルスを庇った時のように自分たちのことも同じくらい大切にしてくれるのだろうか。
そして何より、彼女から本当の笑顔を向けてもらえる対象になってみたいとも思った。

ジェームズの言葉に、シリウスは否定せずにただ息を吐く。


「…確かに癪だな。スニベルスにはどんなことでも負けたくねえし」
「僕も賛成。だけどジェームズ…君、エバンズに近付きたいから彼女と仲の良いユキシロを利用しようとか思ってるんじゃないよね?」


探るようなリーマスの視線にギクリと肩を上げたジェームズは、頬をかきながら「それもちょっとあるけど…」と苦笑していた。


「ま、まあ細かいところは気にしない気にしない!な、ピーター」
「…う、うん!」


ピーターと肩を組んで中庭から出るジェームズの後ろを、呆れたように笑うリーマスと表情を緩めたシリウスが追いかけたのだった。


(人を笑顔にする悪戯を求めて)


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