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07




トカゲの肉なんて初めて食べたけどすごく美味しくて、珍しくお腹いっぱい食べてしまって少し胃もたれしていたら何か柔らかいものがわたしの頬を舐め上げた。


「ん、?」
「ヴォ!」
「…何このラクダ」


横を向くとそこには鞍のつけられてた1匹のラクダ。

そういえばさっきルフィと一緒にこのラクダもトカゲに追われてきてたような。
ラクダは、サンジみたいに目をハートにさせてわたしの顔に擦り寄ってくる。擽ったいし獣臭い。


「テメェこのエロラクダ!ナマエさんの麗しい頬を舐めるたァどういう躾されてんだコラァ!!」
「俺のナマエから離れろ腐れラクダがァ…!テメェもそこのトカゲみたいに食ってやろうか!?あァ!?」

「おおい!?サンジもコラソンも落ち着けって…!」


憤慨してラクダを今にも殺しそうな勢いのサンジとコラソンをウソップが落ち着かせようと必死になってるのを眺めながら、近くにいたゾロを見つめた。


「あのラクダ、女好きらしい」


男は乗せねェ派なんだとよ、と呆れたような声で続けたゾロ。…ラクダなのに同じ動物以外である人間の女でもメスの対象として見てるなんて、変なラクダ。


□ □ □



ナミによってマツゲと命名されたラクダにはわたしは乗らず、ナミとビビの2人に乗ってもらった。
何となく若い子を優先で乗せてあげた方がいいかと思ったのと、きっとナミ達に置いていかれるであろう男性陣が心配だったのもある。

そして案の定。


「津波が来るぞォーーーう!!」
「は!?おい、どうしたルフィ…!」


さっきのトカゲ肉を食べた時に得体の知れないサボテンも一緒に食べたというルフィが幻覚を見て暴れ出し、チョッパーが麻酔で眠らせるという珍事件があった。


「おい!あのアホラクダもうあんな遠くへ…!追うぞ急げ!!」


ゾロの言葉に前を見てみれば確かに小さくなったラクダと人の影がふたつ。
ちょっとくらい歩きの人達に合わせてくれたっていいのに…マツゲのアホ。


「ナマエ、大丈夫そうか?辛くなったら言え。俺が抱きかかえてやるから」
「あり、がとっ…でもまだ平気だよ」


ナミ達を見失う前にと駆け足で急いで追いかけていればロシナンテが声を掛けてくれる。
そんなロシナンテはそこまで苦しそうに見えない。
やっぱり海軍にいた時に鍛えてただけあって体力もあるんだろうけど…すごいなあ。


「あ、そうだ。チョッパー」
「ん?どうしたんだ?」
「ルフィが食べたサボテン、幻覚剤の材料になるとか言ってたよね。後でそういう知識とか色々教えてくれたら嬉しいな」


前の世界でいくらわたしが医者だったからと言ってもここは異世界。
この世界の人達が同じ人間である以上はわたしの持つ医療学が通じる面もあるだろうけど、やっぱりここで過ごしていく以上はこっちの医療の知識も蓄えておきたい。


「わたしも一応医者なんだけど、知らないことが多いから。ダメかな?チョッパー」
「ダメなんかじゃないさ!頼りにしてくれるの、おれ嬉しいよ!」
「ありがとう!色々教えてね、先輩」
「せ、先輩だなんて…嬉しくねーぞコノヤロ!」

「嬉しそうだな…ってこんな呑気に話してる場合じゃねェ!ほら、ナマエももうおぶされ!」


ロシナンテにヒョイッと持ち上げられて、ずっと胃もたれしていたお腹に負担がかからないようにと背中に乗せてくれる。
申し訳ないと思いつつもロシナンテに甘えて、わたしは大人しく彼の大きな背中に身体を預けた。

そしてユバに着いたのは夜だった。