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06




反乱軍がいるというユバの町まで砂漠を歩くことになったわたし達。

船から降りてすぐ、クンフージュゴンという可愛い生物にウソップがボコボコにされていた。
そんなに強いのかなと興味本意でルフィと近付いてみたら、わたしとルフィであっさり勝ってしまう。

あんまり鈍ってなくて安心した、と両手につけた革グローブをギュッと嵌め直しているといつの間にか隣にいたロシナンテが驚いていた。


「ナマエがそんなに腕っぷしが強いなんて俺ァ初めて知った」
「………引いた?」
「んなわけあるか。惚れ直した、な」
「…ありがとう」
「ッ照れてんの可愛、っぐ!」


暑いから近付かないで、とロシナンテの顔を両手で押さえたら彼は拗ねたように唇を尖らせて船から荷物を下ろしているサンジやゾロの手伝いに向かう。
その後ろ姿に小さく笑った。


□ □ □



灼熱の太陽、灼熱の砂漠。
消費できる水にも限りがある状況で、ひたすら歩き続けるのは想像以上にしんどい。

汗をかいたらかいただけの水分を補給できないと脱水症状になってしまう危険性がある。

わたしは汗をかきづらい体質だからそんなに水分を摂らなくても大丈夫だとして…とりあえずは他の皆の体調の変化に目を配らせておこうと思い、周りを見渡していた。

そしてふと、砂漠を歩き始める前に語られたビビの話を思い出す。


「…………」


ダンスパウダー、別名雨を呼ぶ粉=B
首都であるアルバーナにその粉が大量に運び込まれたことをきっかけに、首都以外の町では雨が降らなくなってしまったという。
それはダンスパウダーが、自然と雨を降らしてくれるはずの雲を奪ってしまうという影響をもたらすから。

首都にしか雨が降らないとなれば国王が何かしら関わっている疑いをかけられるのも当然で、干ばつで苦しむ国民たちの怒りは国王に向けられ…ついには武装勢力を持った反乱軍が戦争を起こそうとしているらしい。

しかしそれは全て、アラバスタ王国の崩壊を狙うクロコダイルに仕組まれていたことだった。
そのせいで何の罪もない国王と国民が争い、このままではたくさんの命が失われてしまう。それを止めるためにビビは今、一国の王女として国を救おうと強く願い、行動している。


『――私は、あの男を許さない…!!』


そう言って苦しそうな顔をしていたビビ。
彼女がとても愛しているだろう国は、突然現れた1人の男によって今、崩壊の危機に晒されている。

そもそもそのクロコダイルという男は何者なんだろう。
そういえばロシナンテが、その男は七武海の1人だと言っていた気がする…と暑い暑い言いながら隣を歩いていた彼を見上げたら目が合って首を傾げられた。


「クロコダイルって七武海?の人だってロシナンテは言ってたよね」
「ああ、そうだ」
「七武海って何?」

「…七武海ってのは世界政府に公認されている海賊たちのことだ。指名手配・懸賞金の解除を初めとして、普通の海賊には許されねェことも七武海の奴らなら容認されることも多々ある」


七武海が何なのかは分かった。でもどうして、世界政府公認の海賊なんてものが必要あるのかが分からない。
それに、いくら七武海の海賊とはいえ、ひとつの国を滅ぼす悪事すらも許されるとでもいうのだろうか。


「心配することはねェ。いくら七武海でも海賊は海賊だ。今回みたいな許容範囲を超えた凶悪な犯罪を起こせば当然、そいつらも他の海賊と同様に捕縛の対象になり、インペルダウンへ収容される」


そう説明してくれたロシナンテは、わたしの頭をポンポンと撫でる。
無知が罪とならないように、この世界のことをこんな風に少しずつ知れていけたらいい。

まあ…とりあえず今は、ルフィ達と一緒にクロコダイルを倒して、ビビの国を救うための少しもの手助けになれるように頑張ろう。

そう思い前を歩くビビに近付き、その肩に手を乗せる。


「ビビ、もしどこか体調悪くなったら言って。わたし一応、医者だから」
「え!ナマエさんってお医者様なの!?」
「そうだ!しかも凄腕のな」


…なんでロシナンテがそんな自慢げなの。