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03




ナノハナに着いてすぐ、ルフィは相当お腹が空いていたのかメシ屋と叫びながら1人で走っていってしまった。


「ったく、あのバカは…!」


船を降りる準備をしているナミさんはそう言うけど、ルフィだしなァ…と周りは特に気にしてない様子。

他の海賊を知らないから何とも言えないけど、船長がルフィみたいな感じだとクルーのみんなは苦労してそうだと苦笑した。


□ □ □



ナノハナの外れで一旦ルフィを除くみんなと別かれ、買い出しに行くというサンジと町を歩いていた。
サンジは必要な食料を買い終えると、女物の服屋へと入っていき、鼻の下を伸ばしながら物色中。


「ナマエさん、こんなのどう?」
「…ちょっと露出が多くないかな。ナミやビビはいいけど、わたしは着ないよ」
「嘘だろ!?ナマエさんも絶対似合うって!」
「似合う似合わないとかじゃなくて、着たくないの」
「残念だァ〜…っ!!」
「ちょっと、何も泣かなくてもいいでしょう」


そんなサンジに付き合いながらも、わたしは町を歩く人達をキョロキョロと観察する。

殆どの人が頭にターバンのようなものを巻いていて、金髪で探すのは難しそう。
あとはもう彼の特徴である3m近い高身長で何とか探すしかない…。顔を見れば一発で分かるけど。


「ー…!サンジ、ちょっとわたし離れる!」
「は、え!?ちょ、ナマエさん!1人じゃ危ねェって…!」


人混みの中に頭一つ飛び抜けていて、更にはフワフワの金髪を揺らして歩く男の人。
もしかしたら彼かもしれない。少し遠くだけど走れば追いつけるはず…!

わたしに声をかけるサンジに振り返って、ゴメン!とジェスチャーするとすぐにその人を追いかけた。


□ □ □



久しぶりの全力疾走で荒くなる呼吸を整えて、周りを見渡せばさっきの金髪は姿を消してしまっていた。

顔は見てないけど、雰囲気は似てた…。
せめて顔の確認だけでもできたらよかったのに。

ギュッと両手を握って、サンジのところへ戻ろうと踵を返そうとした時。
ふと目に入ったのはザワザワと騒がしく、人集りの出来ているお店だった。


「店主と会話してる途中で突然死んじまったらしい」


野次馬からそんな言葉が聞こえて足が止まる。

突然死?会話している途中で苦しみもなく?
まだ心肺蘇生できる状態であるなら、もしかしたらその人助かるかもしれない…!

わたしはその問題の店の中に駆け入り、お肉の刺さったフォークを手に持ったままテーブルに突っ伏している半裸の男性に近寄った。


「呼吸は……って、え?この人…」


口元に手を添えればしっかりと感じる暖かい息。

この人、死んでるんじゃなくて…。
そう思ったのも束の間、むくりと起き上がった彼は大きく息をすると、まいった…とひと言呟く。


「ーーー…寝てた」


やっぱり寝てただけか!人騒がせな。
わたしが心の中でツッコミを入れたら、周りの人達は一斉に『寝てたァ!?』と驚いている。

オレンジ色のテンガロンハット、裸の上半身には大きなドクロマークの刺青、頬に散らかるそばかす。
ドクロを背負ってる時点で彼が海賊だと分かるけれど、何というか…この世界の海賊は個性的な人が多い。

まあ、とりあえずは死んでなかったようで良かった。
ホッと息を吐いて店から出ようとした時、バチリとその彼と目が合って首を傾げられた。


「…なァ。おまえ、名前何ていうんだ?」
「え。…わたしは、」

「よくもぬけぬけと大衆の面前でメシが食べられるもんだな。…白ひげ海賊団の二番隊隊長がこの国に何の用だ?ポートガス・D・エース」


テンガロンハットの彼に名前を聞かれて、答えようとした言葉を低い声に遮られてしまう。
現れたのは口に葉巻を2本も咥えた、人相の悪い男。

何やら2人で話し始めてるけど、仲が良いようには到底見えない。これは面倒な事に巻き込まれる前にこの場を離れた方がよさそう、だよね。