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02




この船に乗る以上はお互いのことを知っていた方がいい、とのことで簡単な自己紹介を済ませた。

船長のルフィ。
剣士のゾロ。
狙撃手のウソップ。
コックのサンジ。
航海士のナミ。
船医のチョッパー。
王女様のビビ。

とても個性的な彼らは、素性も知らないわたしに今からどこに何をしに行くかまで教えてくれて。
王女様であるビビの国が乗っ取られているから、その黒幕を倒しにアラバスタという国へ向かっているという。

反乱軍によって争いが起きているような国が、わたしの言う次の島になってしまうことに不安しかなかった。


□ □ □



アラバスタまで持つはずの食料が夜のうちに消えていた、というか食べられていたことが原因でルフィ達が海面に釣竿を垂らしてるのを見ながら手の持っているトートバッグを一瞥した。

これにはロシナンテの服と爺ちゃん婆ちゃんの写真、それから悪魔の実が入ってる。
特に悪魔の実なんて持っているのがバレたら、いくら海賊らしからぬ彼らでも目の色を変えて襲ってくるかもしれない。だってこれ1億…。


「ねえ、ナマエさん」
「ビビ。どうしたの?」
「ナマエさんの恋人ってどんな人?」


隣に座ってきたビビが微笑みを携えて聞いてくる。
どんな人…と少し考えて、トートバッグから取り出した赤いフードキャップを見つめた。


「金髪で背が高くてかっこいい。性格は優しくて涙脆くてドジ、でもそれが可愛い」
「…ふふっ。ナマエさん、本当にその人が好きなのね」
「…………」


第三者にそう言われると、なんか恥ずかしい。
好きなのは当たり前なんだけど、ロシナンテとの関係を知ってる人間なんてあっちにはいなかったからこういう話を他の人にするのも初めてだし。


「なあにー?ガールズトークならあたしも混ぜて!」


ナミが口角を上げて近寄ってきた。
見るからにわたしより若そうな彼女たちはキャピキャピと楽しそうに根掘り葉掘り聞いてくる。


「ナマエっていくつなの?」
「25歳だよ」
「え、嘘!?年上じゃない…!」
「ナミとビビは?」
「18よ。あ、18…です?」
「はは!いいよ、無理して敬語使わなくても。年齢とか気にしてないから」
「ナマエさん、すごく若く見えるわ…!同い年くらいかと思ってたもの!」
「肌白くてスベスベツヤツヤ!羨ましいーい」
「ふたりともお世辞うまいね」
「「お世辞じゃないわよ!」」


これが普通の女の子何だろうけど、目の当たりにするとわたしがどれだけ冷めた10代を送ってたかが自分でもよく分かっちゃうなあ…なんて。


「俺も混ぜてぇー…!!」
「あの輪に入りてェなら性転換してこい、アホコック」
「んだとこのクソマリモ!俺は男としてあの楽園の中に入りてェんだよ!」
「筋金入りのバカだな」
「あァ!?」


サンジとゾロが喧嘩してるのを見ていると、あいつらは相変わらずね…とナミが呆れていた。

サンジ、足で刀止めててよく切れないね。
ロシナンテがこっちに来た時も、傷の治りが異常に早かったしこの世界の人体のつくりはとても優れてるのかもしれない。医者ならではの興味が疼く。

ロシナンテの身体は特に変わった部分はなかったけど。
…うーん。ロシナンテのこと考えるとすごく会いたくなって苦しくなっちゃうな。


「オカマが釣れたあああ…!」


気を紛らわそうと思ってロシナンテの赤いフードを自分の頭に被せていたら、今後聞くことがないであろう変なワードが叫ばれた。

偉大なる航路にはオカマまでいるのか。