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15




宮殿の近くになるにつれて交戦の激しさは増す。

それに巻き込まれないように流れ弾とかに気を付けながら進み、やっと宮殿に着けば、見慣れた麦わら帽子と水色の綺麗な髪が目に入った。


「ああああー!ルフィが生きてるぞ〜!!」
「トニー君っ!」

「何ィ!?ルフィーー!!っ、な!?な!?だから言っただろ!おれにはわがっでだ…ッ!」
「…分かってたって奴の顔かよ」
「ウソップさん!サンジさん…!」

「ビビ、無事で良かった…!それにルフィも」
「ルフィ、やっぱ生きてたか」
「っ、ナマエさん、コラソンさんも!」

「ウソップーー!誰が宴会の小道具作ってって頼んだのよ…!!」
「立ってんじゃねェかてめェ…ッ!!」
「ナミさん…Mr.ブシドー!みんな無事で…!」


瞳を潤ませるビビの顔に笑みが浮かび始めた。

ナミとゾロも無事で良かった…って、無事でもないよねあれ。特にゾロなんか未だに大出血してるみたいだけど…ウソップやサンジを見る限りだとゾロもきっと、大丈夫なんだよね?
止血だけはきちんとしておかないと本当に出血多量で死んでしまうから、後で処置はしないとだけど。


「悪ィ、みんな。おれ、あいつにいっぺん負けちまったんだ。だからもう負けねェ!!あとよろしく」


ーーー終わりにするぞ!全部!!

ルフィの力強い声に、みんなが腕を掲げて声を上げた。
そして宮殿の上階へと腕を伸ばそうとするルフィをわたしはハッとして急いで引き止める。


「ルフィ、クロコダイルは砂だから水が弱点のはずでしょう?わたしを連れて行ってくれれば、」
「んや、大丈夫だ!この樽いっぱいに水もらってきた。ナマエはビビを手伝ってやってくれ!」
「でも、!」

「ナマエ、信じろ!おれ負けねェから!!」


ニシシ、と歯を見せて笑ったルフィが驚いて固まるわたしにパサリとトレードマークの麦わら帽子を被せた。

これ、確かルフィの宝物だって…。
バッと顔を上げた時にはもうルフィは飛んでいってしまっていて、わたしは帽子のツバをキュッと握る。


「本当に、不思議な奴だな。ルフィは」
「…うん、そうだね」


麦わら帽子の上からポンとわたしの頭に手を置いてきたロシナンテを見上げれば、彼はニッと笑った。

そういえばロシナンテはウソップがルフィが死んだって言われたって聞いたって話が出た時に、そんなの信じないって真っ先に断言してたような。
きっとロシナンテはわたしより全然前から、ルフィに対しての安心感と信頼を抱いていたのかもしれない。

今なら、みんなが何でルフィの仲間になったのか。その理由が分かるような気がした。



□ □ □



今日の午後4時半。今から約15分後。
直径5kmを吹き飛ばすほどの威力を持つ特製弾を宮前広場に撃ち込み、国王軍も反乱軍も一網打尽する。

これもクロコダイルによって仕掛けられた作戦の1つで、それを止める為には何処かにいるはずの砲撃手を見つけないとビビは必死に説明してくれた。


「砲撃手を探すったってどこを…」
「考えてる暇はねェ。あと10分しかねェんだ!」
「でもお前、直径5kmってことは少なくともここから2.5km離れたところから狙ってんだろ!?」

「違う…!恐らく砲撃手はこの広場の近くにいるわ!」


ビビの言うことが本当であれば、クロコダイルは仲間であるはずの砲撃手ごと吹き飛ばすつもりで敢えて近くから砲撃させるようにしているということ。

クロコダイルって、本当に嫌な奴。
グッと唇を噛んでいたら、ふとビビの背後に剣を振り上げている男が見えてわたしは咄嗟に拳を突き出した。

ーーードゴッ!ガキィン!ドンッ!
わたしの正拳突きが男の顔にめり込み、サンジの蹴りが腹に埋まり、ゾロの刀が剣を受け止める。


「見つけたぜビビ王女ォ!おめェを殺せばどこまで昇格できることやら!!」
「ビリオンズ…!」


ビビを狙って襲ってきたビリオンズ達をとりあえずゾロとサンジに任せて、残ったわたし達は砲撃手を探すために散り散りになることに。


「ナマエ、行くぞ…!」
「うん!早く砲撃手を探さないと」


歩幅の違うロシナンテにほぼ抱えられるようにして、わたし達は砲撃手を探すために街を駆けた。