試作品 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

14




結果から言うと、決着はものの10分でついた。


「はらひれほろはれー…」


身体全体を水に包まれたオカマはまるで顔が汚れてしまった某アンパンのように草臥れている。
顔まで水で覆ってしまったら息ができなくなっちゃうからそこは配慮してあげたけど。

やっぱり能力者って水に弱いんだ…と再認識して、”水にまみれて力が出ない状態”のオカマをその場に置いたまま、ビビのことを追いかけることに。
だけど、門(ゲート)に続く階段を上ろうとした時、ボォン!!と大きな爆発音が聞こえて足を止める。

門まで辿り着けなかった誰かが敵とまだ交戦してるのかもしれない。
わたしは全力で足を走らせてその爆発音のした方へと向かった。


□ □ □



向かった先にいたのはウソップとチョッパー先輩。
ふたりとも傷だからけの血だらけで、わたしは急いで駆け寄った。


「ウソップ!チョッパー先輩…!」
「…うわぁぁ!ナマエ〜…っ!!」
「ぐへェ…っ!お、い…チョッパー…おま、え…」


号泣したチョッパー先輩がウソップを踏んづけてわたしの胸に飛び込んでくるからきちんと受け止める。
可愛い…可愛いけどすごい傷。でもさすがはチョッパー先輩だ。きちんと応急処置すべき患部にはもう既に処置が施してある。


「ウソップの方が重症なんだ!4トンのバットで頭やられて…ッ!!」
「は、4トン!?ウソップ生きてる…っ?敵は!?」


砂の大地に身体を横たわらせているウソップの傍に駆け寄ると、ウソップは血だらけの顔をそのままにニッと笑って親指をグッ!と立てた。


「このキャプテンウソップ様が負けるわけねェだろ!」
「ウソップ〜!!カッコイイぞォ…!!」


とりあえずは良かった、と大きく息を吐く。

ウソップは鼻の骨が折れてて頭の骨にも軽くヒビが入っているみたいだった。レントゲンとかMRIが撮れないのがすごくもどかしいし不安だけど…。
全身は何回も爆弾でやられたと言ってたから、至る所に切創やらでとにかく傷の量が酷い。


「ウソップ、脱いで」
「…はァ!?何言ってんだナマエ、あ!やめろォ!!無理やり脱がすなァ…!キャー!!」
「うるさい!いいから治療させろや!!」
「……は、はひ」


ナマエ、ナミよりこえー…。
なんて呟きがチョッパー先輩から聞こえたけど、怖いとかそんなのどうでもいい。こんなに血だらけで血を吐いてたら内臓だって絶対傷付いてるし、ちゃんと治療しておかないと今は大丈夫でも後に…もしかしたら死んでしまうかもしれないじゃない!


「おいおいウソップ。なにナマエ泣かしてんだ。怪我人とか関係なしにぶっ飛ばすぞ」


聞こえたのはロシナンテの声で、ハッと顔を上げたすぐ目の前に彼がいた。いつの間に来たんだろう。
寝そべっているウソップを挟んだ目の前にわたしと目線を合わせるようにしゃがみ込んだロシナンテが、目を細めてわたしの目元に滲む涙を拭ってくれる。

またドジって服を燃やしたのか服の襟のところが黒く焦げている以外、ロシナンテに怪我は無さそうだ。


「ナマエ、おめェなんで泣いてんだよ…」
「…ッだってこんな傷負ったら死んでもおかしくないでしょう!わたしは心配して、だから早く治療を…!」
「……あー…オレが悪かったよ!!脱げばいいんだろ脱げば!小せェとか言うなよ!?傷付くから!」


え、小さいってなんのこと。
その言葉を理解する前にヒョイっと立ち上がったウソップがポイポイと服を放り投げ手脱いでいく。


「ナマエにナニ見せようとしてんだゴラァ…!」
「ぎゃあああ!仮にも重傷者に何すんだァ!」
「ウソップ、別にパンツは脱がなくていいんだぞ」
「……あ、そっか」


チョッパー先輩の呆れたような声にウソップが納得したようにポンと手を叩き、パンツを脱ごうとしていた手を止めた。小さいって、そういうことね…。
心配して損したとは思わないけれど、わたしが思ったよりは元気そうで少し安心した。


「ロシナンテは怪我とかない?」
「俺は大丈夫だ。ナマエは…」
「オカマに襲われたから、ビビを宮殿へ先に行かせたんだ。オカマは能力者だったから水で動けなくさせて、それからここに。だから怪我はないよ」
「そうか、良かった!俺も1人倒してきたんだぜ」


自慢げに言うロシナンテがちょっと可愛い。
頬がゆるりと緩んでいくのが自分でも分かった。


「ヴォ〜…!!」


どこに隠れてたんだか、いきなり姿を現したマツゲ。
相当怖かったんだろう。泣きながらわたしに頬擦りしてくるマツゲをよしよしと撫でてあげる。ロシナンテが怒ってたけどさすがに動物にヤキモチは…。

それからマツゲにまだ動けないウソップを乗せて、わたしたちはアルバーナへの門(ゲート)をくぐって他の皆との合流とビビのいる宮殿を目指した。