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「#エロ」のBL小説を読む
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ラクダのマツゲに続き、ナミによって命名されたカニのハサミは砂漠の生き物故に水が苦手らしい。
だけど最悪なことに、もうすぐ目の前にはサンドラ河という海のように大きな河が迫っていた。


「ー…っそうだ!ハサミは踊り子が好きだ!」
「これでいいの?」
「あ、こっちみた…」


ナミがマントを脱いだことにより、その下に着ていた踊り子の衣装が顕になる。するとハサミは目をハートにして思い切り走るスピードを加速させた。
…恐るべしエロパワー。チョッパー先輩がハサミのことエロいけどって言ってたのは本当だったんだ。


「おォ!奇跡だ!!水上を走ってる!!」


ーーー歓喜も束の間。
ブクブクと泡を吹いて沈んでいくハサミ。


「気のせいかァ…!!」
「うっ…な、ナミ!助けて…っ」
「ほらナマエ!掴まって!」
「待ってナミさん。ナマエさんなら俺が…!」
「サンジはロシナンテをお願い!」
「…っく。ちくしょう!おらコラソン!しゃきっとしろよ!」


河に沈みそうになったところをナミの背中にしがみつかせてもらって、何とか凌ぐ。
ロシナンテも青い顔をさせながらサンジに引っ張られていて、ホッと息を吐いた。


「キャー…!!サンドラ“マレ”ナマズ!出現がごく“マレ”なの!」
「んな説明いらねェよ!!」
「あと人間が大好物!」
「そっちを先に言えェ…!!」


アルバーナまでの道のりは前途は多難のようです。


□ □ □



大きな大きなナマズに襲われそうになったわたし達を助けてくれたのは、砂漠を歩き始める前にわたしとルフィが倒してしまったクンフージュゴンたち。
兄弟弟子を放っておけないとのことで駆けつけてくれたらしく、気絶したナマズの上に乗るわたし達を向こう岸まで長時間引っ張ってくれたのだ。


「順調に来てるぞ、間に合いそうか!?」
「難しいわ。マツゲくんに乗っても間に合うかどうか…」


しかもマツゲに乗れるのは2人が限界。
どうしようかと悩んでいると遠くの方からドドドと何かが駆けてくる足音が聴こえてきた。

先頭に見えたのは、ビビと一緒にいたカルー。
そしてその後ろには何羽ものカルガモたち。


「超カルガモ部隊!迎えに来てくれたのね…!」


それが何なのかは分からないけれど、“超”がつくくらいすごいカルガモ達だということは理解できた。
わー…同じカルガモでもみんな全然顔とか違う。個性溢れてて何より可愛いなあ。


「こいつらに乗れば間に合いそうだな…。問題はどうやって宮殿に入るかだが…」
「他のB・Wの幹部連中にも情報は回ってるだろうし、あたし達のことを待ち伏せしてるに違いないわね…」


サンジとナミが考え込んでいるのを横目で見ながら、ロシナンテの左腕にバツを書いてその上から包帯を巻く。
これから本格的な戦闘が始まると思うと、怖いと思う反面で自分の能力を試せるいい機会になると少しだけ高揚もしてきたような気がする。


「よし、その作戦で行くぞ。考え直してる暇はねェ」
「あたしとゾロ、サンジくんとチョッパー、ウソップとマツゲ、それからナマエとコラソン。この組み合わせが妥当ね。ビビにはどっかに隠れもらって、」
「おおい!?どこが妥当なんだよ!何で俺だけラクダと!?せめてナマエかコラソンをつけてくれよォ!」


ウソップは嘆きながらロシナンテにしがみついている。

わたし達は彼らが1人1人どのくらい強いのかがまだよく分からないから、とりあえずはナミ達の指示に従うしかないんだけど…。そうは言ってもこのウソップの嘆き具合には少し可哀想とは思ってしまう。


「あー…そうだな。コラソン、ウソップについてやってくれるか?」
「…構わないが、ナマエが1人になっちまう」
「じゃあわたしはビビと。ビビの護衛も必要でしょ?」


ニッと笑うと、ロシナンテがすごーく心配そうな顔をしてわたしを見てくる。
レインディナーズでのこともあって不安になってるんだろうけど、運良く無傷で終われるような状況じゃないってことはロシナンテも分かってるはず。


「ー…気を付けろよ。ナマエ」
「うん、無理はしない。ロシナンテも気を付けて」


そうして、わたし達はとうとう反乱軍と国王軍がぶつかる首都アルバーナへと到達する。



衝突を止めろ
(ビビ、わたしが守るからね)
(ナマエさん…。ええ、ありがとう…!)
(クエッ!クエー!)
(ふふ。カルーもありがとね)

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