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気付いた時には、壊れた水槽から水が溢れる出てきていてもう膝のあたりまで水が溜まってきていた。
わたしはもうかれこれ10分以上も大きなワニと鬼ごっこを繰り広げている。

せっかく悪魔の実を食べて水の能力を手に入れたとこほで、何をどうして攻撃したらいいのかが分からない。
持ち前の運動神経で幸いにもワニに怪我を負わされることは今のところないけど、早くこの状況をどうにかしないとロシナンテ達が危ない。

水、水といえば。水の脅威、怖いところ。
考えて、考えて…。ーーそしてひとつ、閃いた。


「……っ、!」


両手をワニに向けて、わたしの身体からそして周りにある水をたくさん集めるイメージ。
どんどん集まっていく水は大きな大きな球体となり、まるで水で出来た太陽みたいだった。


「おおー!すんげェぞナマエ…!!」


ルフィが目を輝かせている。

あーあ、どうせならさっきクロコダイルに殴られる前にこういうの思いつけたら良かったよ。
そしたらロシナンテにあんな表情させなくても済んだ。

まあ、あの時は考えるスキもなく殴りつけられたから結局は無理だったとは思うけど…。


「よいしょ、っと」


大きな水の太陽となった球体を、勢いつけてワニに放り投げてやった。
それが直撃した瞬間、ワニは声を上げることもなくビシャリ!と大量の血を撒き散らして消える。


「あ、ちょっと…思ったよりオーバーキルだった」


水によってかかる圧が攻撃にならないかと考えてやってみたことだったけど、まさかこれほどの威力とは思わなくてやった本人であるわたしもビックリ。

顔を引き攣らせてロシナンテを振り向いたら、彼もわたしと同じような顔をしながらも親指を立ててグッドポーズをしてくれた。


□ □ □



それから、ビビが呼んできてくれたサンジも加勢してくれてワニを退けられたものの。
完全に建物が崩壊してすごい量の水が勢いよく流れ出てきてしまい、わたし達はレインディナーズを取り囲んでいた湖に流されてしまう。

泳げないわたしを助けてくれたのはゾロで、もう片方の腕には海軍の男の人を抱えていた。
ゾロ、すごい力持ち…あんな水の中を大人ふたりも抱えるなんて相当だ。

と思っていたら、後から水から上がってきたサンジもサンジで片手にはルフィ、もう片方にはロシナンテを抱えて岸に引き上がらせてきた。


「…っロシナンテ!しっかり!」
「…………」
「どうしよう…まずは人工呼吸を、」
「ストーップ!ナマエさん早まるな…!ナマエさんがこいつにするくらいなら俺がッ!」
「ぶふーっ!…っぷはぁ、危ねェ…死ぬとこだった!」
「…コラソン……テメェ…」


サンジがロシナンテに本気かどうか分からないけど人工呼吸をしようとしたタイミングで、ロシナンテは口から水を吐き出し意識を取り戻した。
ロシナンテの吐き出した水を顔にかけられたサンジが怒りでピクピクとこめかみを痙攣させている。

…うん、別にどっちも悪くないよ今のは。


「行け。…だが今回だけだぜ。俺がテメェらを見逃すのはな。次に会った時は命はないと思え、麦わらのルフィ…それから凪使い」
「にしし!おれお前嫌いじゃねーなァ…!」
「ッさっさと行けェ!!」


能力者である海軍の人は水から助けてもらった代わりにわたし達を見逃してくれることになったらしく、アルバーナへ急ぐわたし達を追ってこない。

走りながら海軍の彼はスモーカーという名前だとウソップに教えてもらっていたら、ロシナンテが『俺もあいつは嫌いじゃねェ』と隣で呟いていて小さく笑った。