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08




ナマエがミズミズの実を食べることに、実を言えば俺は最初っから賛成だった。
ナマエが能力者になれば、戦うことはできなくてもその能力が彼女を守ってくれると思ったからだ。

ミズミズの実は自然系の能力で、同じ系統のメラメラの実を食ったエースもそうだが、まず身体に銃弾が効かない。もしかしたら斬撃も効かねェかもしれない。水を切ることは出来ないしな。

砂漠を歩いてきた疲労と、穴を掘ってたじいさんの為に初めて能力を使ったこともあって気を失ったナマエを抱き上げて支える腕にギュッと力を込めた。

朝になったら、ルフィ達にもナマエが能力者になったこと言わねェとだな。


□ □ □



朝目覚めて早々に、部屋にちょうど全員が集まっていたから早速ナマエのことを説明した。
ちなみにナマエはまだ眠りこけている。布団にくるまってて寝顔が見れねェのが残念だ。


「ナマエが悪魔の実の能力者に!?ちょっといつの間に悪魔の実なんて…」
「おまえ達には黙ってたが、ナマエは元々持ってたんだ。世話になってるからとおまえ達にあげて金にでもしてもらおうとも考えていたが、守るために強くなりたいというナマエの意思で昨夜…悪魔の実を食った」


ナミの言葉にそう返せば、シンと静まり返る。
しかしそれも束の間、船長であるルフィがニシシ!と笑うと寝ているナマエに近付いた。


「ナマエも俺と同じ能力者になったのかー!なあなあ、何の実食ったんだ!?ナマエ〜!」
「う、んん…っ」
「おいこらルフィ!まだ寝てんだ無理に起こすな…!」


布団に包まれているナマエの頭をペシペシと叩きやがるルフィの頬を引っ張って止めさせれば、彼女は身じろぎしただけで起きることはない。


「ナマエが食ったのはミズミズの実」
「ミズミズ…ってことは水の能力か?」
「ああ、そうだ。ルフィの兄のエースと同じく自然系の能力…使いこなせば、最強だ」


最強ねェ…とゾロは不敵に笑って腰に刀を差す。
ナミとビビは同性なのもあってか、心配そうに眉間に皺を寄せて寝ているナマエを見つめていた。


「おいおいこれで俺たちの船には3人も能力者が乗ってることになるぞ!?すげーことだ!!」
「ウソップ…それ、おれも数に入ってるか?」
「あ。そ、そうだよな!チョッパーも能力者だもんなァ!おまえが喋ってるのも二足歩行なのも当たり前過ぎて忘れてたぜ!」
「ウソップのバカヤロー…ッ!」


ウソップとチョッパーが騒がしくしたおかげでナマエが布団ごとむくりと起き上がり欠伸をする。
クルッとこっちを振り返って、俺とバッチリ目が合うとナマエは眠気眼のままふにゃりと笑った。


「…ロシー、おはよお」
「ー…っ、ぐっ!おは、よう…ナマエ」


相変わらず、ナマエの寝起きは破壊的な可愛さ。
しかも寝起きのふわふわな声で、俺のことを普段あまり呼ばない愛称で呼んでくるのがまた良い。

ナマエの世界にいた時も朝起きる度にこうやって胸キュンさせられていたな、と胸を抑えながら腰掛けていたベッドの縁からそのまま後ろに転げ落ちた。


「ナマエすわぁーん!寝起きクソ可愛いぜ!俺の名前も呼んでくれェ〜!」
「サンジ!テメェふざけんな。俺のナマエだ!」
「おまえのとか関係あるか!俺にとっちゃナマエさんも守るべきレディのうちの1人なんだよ!そもそもこんな美しくて可愛いナマエさんを独り占めたァ許せねェ…!」
「独り占めするに決まってんだろ!俺はナマエの恋人だ。な?ナマエ」


ーーえ?なんで当たり前のこと聞いてくるの?
覚醒したであろうナマエがキョトンとした表情でそう言い放てば、サンジがガクッと床に膝をついたのが見えて俺はフンと鼻を鳴らした。


「俺の勝ちだ」
「…うう、俺ァ負けたのか…」
「何の勝負だよアホかおめェら」
「「あァ!?」」


こんな騒がしい朝は初めてだが、ナマエが面白そうに笑ってるから…まあいいか。



能力者になりました
(ビビ!これで水飲み放題だよ)
(ええ。ありがとう、ナマエさん)