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04




ロシナンテと再会できた嬉しさで周りが見えてなかったわたしは、ジーッとこちらを見つめているルフィ達に気が付いてわたしを抱き締めているロシナンテを引き剥がした。

もう二度と会えないかもしれなかった彼と無事に会えたのだから少し大目に見てほしいと思う反面、人前でキスされたことを思い出せばやっぱりTPOを考えるべきだったと許した自分を戒める。


「恋人と会えたみたいで良かったな、ロシナンテ」
「ああ。ありがとうな、エース」


ルフィの兄だというエースがメリー号にやって来て、彼がルフィ達やロシナンテと会話を繰り広げている中。
わたしは頬の火照りをおさえるためにひたすら顔を手で仰いでいた。


□ □ □



ルフィに紙を渡して他の人に”弟をよろしく”と言い放った後、エースはわたしとロシナンテの前までやってくる。


「ロシナンテ、俺はこのままあいつを追う」
「…気を付けろよ」
「あァ、心配ねェ。本当はモビーまでお前らを乗せてってやりたいんだが、戻ってる暇はねェしそれも無理だ。ってことで…おいルフィ!」


エースがルフィに手招きする。


「しばらくロシナンテとナマエをお前の船に乗せてやってくれねェか?色々と事が落ち着いたら俺ら白ひげ海賊団が迎えにくる」
「おお!別にいいぞ。そもそもナマエは俺達の仲間なんだしな!」
「はあ、!?」


ナマエおまえ海賊になったのか!?と声を荒げるロシナンテに必死で首を横にブンブンと振る。

ルフィお願いだから暴走しないでほしい。わたしは仲間になるなんて言ってないでしょう。
ルフィの頭をゴンと殴ったら、ゴムだから効かん!と自慢げに言われた。

あの時、ルフィの手が異常に伸びてたのも”ゴムだから”なのだろう。これも悪魔の実の能力…エースも身体を炎に変えてたし、能力者ってけっこうどこにでもいるもんなんだ。


「まあなんだ…ナマエが海賊になってんならそれはそれで好都合なんじゃねェか?」


エースが苦笑しながらそう言うと、ロシナンテは苦虫を噛み潰したような表情をしてわたしの肩に回していた手にギュッと力を込めた。

わたしが海賊になってたら好都合って、どういう…。
それを聞く前にエースは早々にメリー号から小さな船に乗り移り、ルフィ達を追ってきた船を能力を使って燃やし潰してからどこかに行ってしまった。


「ー…ロシー」
「…っ、なんだ?」
「エースが言ってた言葉の意味、教えてくれる?」


あからさまに目を泳がせたロシナンテを正座させて睨みつけると、彼は頭をガシガシとかいてから、ガバッと頭を下げた。


「悪い!…俺、ドジっちまって…」
「?…なにを、」
「これを見てくれ」


ロシナンテがポケットから出したのは4つ折りの紙で、広げられたそこには。
タバコを吸っているロシナンテの写真と『白ひげ海賊団、凪使い(名前不明)、懸賞金6000万B』との記載。

その下には小さくDead or Aliveとの文字も。


「うお!手配書じゃねーかこれ…しかもルフィの倍の懸賞金…!!」
「懸賞金って………」


ウソップの言葉に驚いてロシナンテを見れば、彼は泣きそうな顔をしてわたしの反応を待っていた。



恋人は賞金首
(白ひげんとこで暴れすぎちまって…)
(指名手配されてるって、これからどうするの)