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ナマエの第一印象は変なやつ。そんでもって美人で、あんまり感情を顔に出さなくて落ち着いてる。
だがこうして仲を深めていくうちに、俺の知らなかったナマエの表情をたくさん見るようになった。

怒ることはあんまりないが、よく拗ねる。
大きな声を上げたりしないで、静かに泣く。
手を繋げば嬉しそうに目を細めるし、キスすれば恥ずかしそうに頬を赤くする。

それがナマエだからこそ、その全てを愛おしく想う。
俺がナマエを嫌いになる?そんなもん天地がひっくり返ろうが晴天に霹靂が現れようが、ありえないことだと自信を持って言える。だから、信じて欲しかった。


□ □ □



意を決したように涙をグッと拭って頷いたナマエに手を引かれて連れてこられたのは、最近一緒に寝るようになったベッドのある部屋。
ベッドの縁に腰掛けた俺に背中を向けるようにしてナマエも座り、バサバサと上の服を脱ぎ出した。

自分の身体は綺麗じゃないとナマエは言っていた。
きっとこの行動の先に、その理由があるんだろう。

上の服を全て脱ぎ捨て、上半身だけ裸になったナマエ。
そしてその白くて小さなな背中に、大きく刻まれた火傷の痕が目に入って目を見張った。


「…両親は火事で死んだって言ったでしょう。家にいたわたしも当然それに巻き込まれていたから、その時の大火傷の痕がこうして残ってしまった」


ナマエの声は震えているようにも聴こえたが、こっちに向けられた背筋はピンと真っ直ぐに伸びたまま。


「この火傷痕を見たことがある人は少ないけど、その人達はみんな気持ち悪がった。目の毒だって。でもわたしは、面と向かってそう言われたって別に何とも思わなかったんだよ。それはその人達が、わたしにとってどうでもいい存在だったから」


だけど、と続けたナマエは今度こそ伸ばしていた背を丸くさせてギュッと自分の身体を抱き込んだ。


「…っロシナンテのことは、本当に大好きで。どうでもいい存在なんかじゃないからこそ、これを知られたら離れていっちゃうんじゃないかって不安で…!」


ーーー…馬鹿野郎。
そう言って俺はナマエの身体を後ろからかき抱いた。
胸の前で組まれる俺の腕に、ナマエの冷えきった手が触れて、また風邪ひくんじゃねェかと心配になる。


「…ナマエ。悪いけどな、俺はそんなことじゃおまえから離れてなんかいかねェよ。いや、何があろうと離れてやらねェ。嫌いにもならねェ」
「…っ、……!」
「気持ち悪いわけあるか!誰だ、俺の#nameにんなこと言った奴は。俺が1発ぶん殴ってやる!」


腕の中のナマエが小さく笑った気がした。

冗談とかじゃなく割と本気で怒ってるからな。
言った奴見つけたら俺は絶対に殴る。…1発じゃねェな、2・3発は殴る。


「でも、見て気持ちのいいものでもないでしょう?」
「はあ…目の毒ってか?それ言った奴の目が腐ってるだけだろうが。ナマエはこんなに綺麗だってのに…」

「…あっ…ん、!」


火傷の痕に指をスッと沿わせれば、ナマエから聞いたこともないような甘い声が吐息と一緒に漏れた。

ドクンと心臓が鳴り、下半身が熱く疼く。
今ので反応しないってのは男として…いや、ナマエを好きな俺には無理な話だ。
ナマエのそんな声聴いちまったら、堪らなくなる。


「なあ、ナマエ…」
「…うん、ロシナンテならいいよ」
「は、いや!俺はまだ何も言ってねェ…!」


焦って離れようとしたらパシリと手を掴まれて、そのまま俺と向かい合うように身体を反転させてきた。
何も隠すものを身につけていない、ナマエの晒された肌色で視界が埋まり、ヒュッと息を呑む。

掴んだ俺の手を自分の鎖骨辺りへと導き、その白い肌へ触れさせるとナマエは赤く染まりきった頬をふわりと柔らかくさせた。


「わたしの初めても最後も、ロシナンテがいい」


その言葉を聞いた瞬間、俺は衝動的にナマエの後頭部へと手を回して荒々しく唇を奪っていた。



崩れる理性
(ロ、シー…!も、無理だっ…て!)
(…っおまえがそうやって呼ぶのが悪い)