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14




門をくぐって見ればそこら中に傷だらけの人達が数え切れないほど地に伏してした。
生きているのか死んでいるのかも分からないピクリとも動かないその身体の近くには、血と血に濡れた凶器。


「……これが、戦争…」


本で読んだり誰かから聞いたりする以外で戦争≠ニいうものがどういうものなのかなんて知る機会なんてない平和だったわたしの世界(国)。
こんなに血生臭くて人の命がポロポロと簡単に奪われていくそれを自分の目で見て感じた今、身体が小刻みに震えてしまって止まらなかった。


「ナマエ、」
「…ロシ、ナンテ」
「一刻も早く止めねェとな」


わたしをギュッと抱き締めてそう言うロシナンテの腕の中でコクリと頷いた。

こういった戦争が起こらずとも、ゾロが前に言っていたように海賊としている以上は命を奪われる危険性とすぐ隣り合わせなんだ。この世界は。
だから強くなろうと思ったんでしょう?守る為に。

自分に言い聞かせるように心の中で訴えかけて、グッと握り拳を作る。…目を逸らさず覚悟しろ、ナマエ。


「おーい!おめェら無事かー!!」


自分の中での決意が固まりロシナンテの手を握り返した時、サンジの声が後ろから聞こえた。
こちらに走ってくるサンジもよく見たら傷だらけで血だらけで、ツキリと胸が痛んだ。


「サンジ、大丈夫ーっ?」
「んナマエすわぁ〜ん…!傷が痛むから癒してくれマイエンジェ、ぶふっ!?」


目をハートにしたサンジが腕を広げてわたしに向かってくるけど、わたしの目の前まできたサンジが思い切りなにかに吹っ飛ばされる。
またロシナンテは怪我人に…とさすがに怒ろうと思ったけど、その犯人はロシナンテじゃなかったらしい。


「ヴォー!!」
「よくやったマツゲ!」
「…ってめェこのクソラクダ!!オロされてェのか!?あァ!?」


サンジを蹴り飛ばしたのはマツゲだったらしく、ロシナンテに向けて前足で器用にグッドポーズしている。
立ち上がったサンジがキレてマツゲに1発蹴りを入れた。
…やっぱりこっちの世界の人達ってみんな超人並にタフなのかな。なんかもう心配するだけ、ムダ?


「ったく、こっちは肋骨何本かイッてんだぞ…あんのオカマ野郎のせいで」
「え、オカマ…?」
「ん?ああ。そういえばあいつナマエさんにやられたとか言ってたな…レディ、お怪我は?」
「ない、けど…わたし水でオカマのこと動けなくしてたはずなのに…どうしてサンジと戦って?」


何故か号泣し始めているウソップの声をBGMに、宮殿への道を走りながらサンジに問掛ける。

水に身体を包まれたオカマが身体の力を抜けさせてその場に倒れ込んだのを確かにわたしは見た。
もう動けないだろうと踏んでわたしはそのままオカマを放置してきたのに、どうして。


「あー、ナマエ。それは多分、一定時間経ってから能力が切れたんだろう。ただでさえナマエは能力者になってから日が浅いんだ、まだ安定してねェんだなきっと」


俺もそうだったしな、とロシナンテが苦笑する。
ということはつまり、わたしがちゃんと能力を使えていればオカマを動けなくしたままにできてその上サンジとオカマが戦うことはなくサンジは怪我をしなくて済んだはずだったってこと。


「…っごめん、サンジ。わたしのせいで怪我させた!」
「ナマエさんのせいなわけねェよ。オカマ野郎を足止めしてビビちゃん守ってくれたんだろ?ナマエさんは弱くなんかないさ」
「サンジ…。ありがとうね」
「ナマエさんの笑顔クソかーわーいーいー!!…っつかウソップ!てめェさっきから何泣いてんだ」

「あのモグラババア…ルフィが死んだなんて言いやがるからよォ…!!」


ウソップの言葉に一瞬、足が止まりそになった。
ルフィが死んだ、なんて。そんなこと…。


「俺は信じねェ。この目で見たわけでもねェしな」
「ロシナンテ…うん!わたしも信じてない。ルフィが死ぬはずないよ。ね、ウソップ」
「お、おでだって信じでねェ…!!!」
「おれもだ!おれも全然信じてねー!!」
「…おう。それなら早いとこ宮殿に急ぐぞ!」



胸いっぱいの心配
(ロシナンテが戦ってるとこ見たかったかも)
(秒で倒したから見てても面白くなかったと思うぜ)
(絶対かっこよかっただろうなって)
(…〜っナマエ大好きだァ!)