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11




レインベースを抜けてアルバーナまで走ってると、デカいカニを連れてきたチョッパーと合流した。
そのカニに乗ってアルバーナへ向かう途中、クロコダイルからの奇襲に遭い、ビビを庇ったルフィがカニから落ちていく。


「ちゃんと送り届けろよ!ビビを宮殿までちゃんと!」
「ー…っ、わたしもルフィと一緒に残、!」
「ちょ、おいナマエ!危ねェだろ…!」


ルフィを追ってカニから飛び降りようとするナマエにギョッとして、その身体を抱え込んだ。
ロシナンテ…と呟いて俺を見上げるナマエの瞳はゆらゆらと不安げに揺れていて、ルフィのことが心配なんだろうと察する。

砂に落ちていくルフィを見たら、あいつは自信満々な笑みを浮かべて俺たちを見ていた。
何だろうなァ…根拠も何もねェのにあいつなら大丈夫だと思わせられるこの感覚は。


□ □ □



クロコダイルの足止めをルフィに任せて、俺たちはカニに乗って砂漠の大地を突き進んでいた。


「フン!フン…!」
「ねえ、ゾロ。もういい?」
「うるせェ。大人しくしとけ」
「理不尽……」
「「テメェ何してんだァ…!!」」


いつの間にか俺のナマエを腕に抱えてダンベル代わりに筋トレしているゾロの頭を俺とサンジで引っぱたく。
…っとに油断も隙もあったもんじゃねェ。つーか何でナマエも素直に従ってんだ。

俺の傍に戻ってきたナマエを軽く小突けば、小さく謝った後にクルリと後ろを振り返って眉間に皺を寄せる。


「ナマエ、何であの時ルフィと残ろうとしたんだ?」
「んー…クロコダイルってさ、砂の能力だったでしょう?それでわたしは水の能力。砂と水じゃあいつには不利なんじゃないかって思ってさ。あいつが能力を使えなくなれば、ルフィの助けになれるかなって」


レインディナーズでの、あの時。
クロコダイルがナマエを殴り倒して、彼女に砂の能力を使おうとしていた。だが、それはナマエの身体に触れる前にサァー…と消えていった。

あれにはクロコダイル自身も驚いていた…ってことはナマエの言う通り、砂は水に不利だということ。
確かに水に触れちまえば砂にはなれねェだろうからな。


「ナマエ!あんた大丈夫なの!?頭!」
「ナミ。うん、平気だよ。切れてたけど縫合する必要はないし、チョッパー先輩が痛み止めくれたから痛みも和らいだ。貧血で少しクラクラするくらい」


俺の腕の中にいるナマエをチラリと見下ろす。
頭には白い包帯が巻いてあり、患部にはじわりと血の色が滲んでいた。


「…んとによォ。大の男が4人もいてナマエさんに怪我負わすたァ…情けねーなテメェら」


タバコを吸いながら、あの場にいた俺とゾロとウソップを睨んでくるサンジには返す言葉もねェ。
…そんなことは自分が一番よく分かってんだよ。

グッと思い切り握り締めた手に、ナマエの小さな手が添えられてピクリと身体が揺れる。


「ごめんね、心配かけて。これからわたし、もっと強くなれるように頑張るから!」
「……俺も、ごめんな。怪我させちまってよ…」
「ロシナンテのせいじゃないでしょ。わたしが弱かったからだって。…もう!サンジ。余計なこと言わないでよ、ゾロもルフィもウソップもあの状況じゃどうしようもなかったんだから」


ナマエさんに怒られた、とガックリ落ち込んだサンジを少しざまあみろと思ったがあいつは間違ったことは言ってなかった。…だから。


「なあゾロ。俺たち、もっと強くならねェとな」
「……あァ。分かってる」



守る為には
(おいナマエ。ダンベルに、)
(なんっでナマエなんだよふざけんな…!)
(………チッ)