テニプリ連載 | ナノ
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ライバル登場?



今日は男子テニス部の関東大会の決勝戦。

試合に出るという蓮二くんや精市くんからは勿論のこと、準レギュラーで試合には出ない仁王くんや丸井くんからも見に来てほしいというお誘いがあった。

手ぶらというのも良くないかなと思って差し入れを持ってきたのはいいけど…。
テニス部員の人数が分からなかったことと、あまり大量に作っても持ち運べないという問題もあって大サイズのタッパー3つ分しか作っていない。


「(まあ、でも…)」


応援に来ている女の子なんてきっと山のようにいるだろうし、そもそも渡せるかどうかも分からない。

渡せてももしかしたら受け取ってもらえないなんてことも有り得るかもしれないし…その時は、これをリクエストしてきた丸井くんに全部食べてもらおっと。それでも、彼ならなんてことなしにペロリと食べてしまいそうだけど。

ちらりとクーラーボックスを見て、わたしは小さく笑いを零してしまった。



□ □ □



しばらく歩いて大会の会場に着いた。

とてもたくさんの人がいる。そしてテニスコートも何面もある。
立海テニス部のジャージは黄色に黒のラインが入ってるけっこう派手なデザインだから、どこが応援席なのかすぐに分かった。


「(わあー。すごい人…)」


フェンスの外にはたくさんのギャラリーがいて、前の方の席すでに満席。

んー、ちょっと見えづらいけど…ここでいっか。
試合が始まるまでまだ時間はあるから、できれば試合前に差し入れを渡したい。

試合に出ると聞いている精市くんや蓮二くんは多分携帯は見ないだろうから、一番見てくれそうな仁王くんあたりにRINEでも送ってみよう。


<応援に来たよ!差し入れ持ってきたんだけど、渡せる時間ありそう?>


返事がなかったらそれはそれで仕方ない。
レモンもキャラメルも冷やしておけば日持ちするし、今日渡せなくても問題はないし。

RINEを送り、照りつける日差しをできるだけ受けないように帽子を深くかぶり直してからスマホをしまおうとするとブルルっと震えた。


<今どこ?>


…いくらなんでも返事早い気が。
んーまあでも、仁王くんって授業中もスマホ弄ってるしすぐ隣にいるわたしに"暇"とか送ってきたりもするから常に肌身離さずのイメージなんだけどね。


<応援席の後ろの方!>
<帽子かぶっとる?>


仁王くんからの返事に、もしかしてこっち見てるのかなと思ったわたしは被っていた帽子をとって応援席の前の方で集まっているテニス部の方をチラリと見た。

すると、その中でも一際目立っている銀髪と赤髪が目に入る。
2人は後ろを振り返ってキョロキョロと顔を動かし、わたしの姿を発見するとブンブンと勢いよく手を振ってくれた。

勢いよく振ってるのは丸井くんで、仁王くんは口角を上げてるだけだけど。


<時間あるし飲み物買いに行くっつって抜けるから、近くの自販機のところで待ってろよ!>


再び震えたスマホ。
次送られてきたRINEは丸井くんからのもので、それを読んでからまた2人に視線を戻すと丸井くんはニッと笑ってこっちに親指を立てていた。

わたしの前の席に座っている女の子達がキャア!と黄色い悲鳴を上げるあたり、やっぱりモテモテなんだなあ…と再認識する。

あ、丸井くんスマホ弄ってるのバレて顧問の先生らしき人に怒られてる。
ちょっと悪いことしちゃったかもしれない…後で謝らないと。


「(よいしょ、っと)」


椅子に置いていたクーラーボックスを肩から下げて、指定された自販機の場所へと向かった。