テニプリ連載 | ナノ
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楽しい放課後




精市くんとの一件は無事に解決したのだけど。


『さっきも言ったように茜が嫌がらせを受けたりするのは嫌だからあまり目に付くところでは話したりしない方がいいのかもれない』


本当に不安そうにそう言うものだから、わたしは頷くしかなかった。
正直に言えば、周りの女の子たちの身勝手な理由で友達と学校でまともに話すこともできなくなるというのはとても遺憾ではあるけど…。


「…(でも、仕方ないよね)」


精市くんはわたしを心配して言ってくれてる。

それに、休みの日とか遊ぼうって言ってくれたしRINEでの連絡も部活で忙しいはずなのに毎日くれるようになった。
無理しないでとは言ってあるけど、俺がしたいからしてるだけって精市くんは必ず言うんだ。

3時間目の英語の授業中、そこまで考えてから黒板の板書をノートに取り終えて小さく息を吐く。

ちょんちょん。


「………?」


隣の仁王くんに膝をつつかれて思わず彼を見ると、頬杖をつきながら黒板を気怠そうに見つめていてこちらを向くことはしなかった。

どうしたんだろう。
疑問に思いながらもしばらくそのままつつかれていれば、机の下で仁王くんからなにかの紙切れを渡された。


『今日コート整備が入って部活ないんじゃ。姉ちゃんからケーキ無料券もらったけえ一緒に行かん?』

「………っ、!」


ケーキ無料券!なんて魅力的なお誘い!
興奮して思わずガタリと椅子が音を立ててしまい、先生に名指しで首を傾げられてしまった。

お恥ずかしい限りです…。
顔に熱が集まってきて、両頬を抑えていると隣から堪えたような笑い声が聴こえる。

こんなの仁王くんの不意打ち無料券のせいだ。
ムッとして隣を睨むと、仁王くんは突っ伏して腕に隠していた顔をこちらに向けて何故か柔らかく微笑んでいた。

口元のホクロが妙に色っぽさを引き出していて、不覚にもしばし見惚れてしまっていたら。


「(行く?)」


そして仁王くんの口がそう動いたのを確認して、わたしは何回も頷いて返事をした。
しばらく自分で作ったものばかり食べてたし、お店の味も恋しくなってきた頃だ。


「(あっ)」


甘いものといえば…糖分を求めていた丸井くん。
初めてケーキをあげた時からなかなかその機会がなくて糖分をあげられてなかったけれど、彼は今も元気でいるだろうか。

糖分〜と項垂れていた丸井くんを思い出してちょっとだけ笑ってしまった。
とりあえずは、今日の放課後を楽しみにて授業頑張ろう。