テニプリ連載 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

楽しい放課後




放課後になって、周りの目もあるし別々に学校を出てお店の近くで待ち合わせしようという話になった。

『先に行っとるよ』という言葉と共に仁王くんはついさっき女の子達に捕まりながらも教室を出ていき、それと入れ替わりでツカサちゃんがわたしの教室に入ってくる。


「茜、一緒に帰ろうぜ!」
「(ごめん!今日は友達と一緒にケーキ食べに行く約束しちゃって)」
「ええー、マジかよ。あたし甘いもん嫌いだしついていってもしゃあねーもんなぁ…」
「(ホントにごめんね。明日は一緒に帰ろ?)」
「おう!そしたら今日は諦めるわ。帰り遅くならないようにしろよ」


くしゃくしゃとわたしの髪を撫で回したツカサちゃんは、ニッと笑って教室を出ていった。

ツカサちゃんも一緒に来れたらって思ったけど、甘いもの嫌いなんだ。
確かにわたしがチョコレートとかあげるって言っても要らないって言われてたような気がするなあ。

好き嫌いは人それぞれとは分かってはいるけど、甘いもの嫌いだなんて損してるとしか思えない…なあんて。

そろそろわたしも行かなきゃと教室を出たところで、ポケットに入れていた携帯が震える。


〈もう学校出た?〉


仁王くんからのRINE。
歩きスマホは良くないなと思い、廊下の端っこの方に立ち止まって返事を打った。


〈これから出るよ!待たせちゃってごめん〉
〈俺もまだ着いとらんからゆっくりでええよ。てか、ケーキ食べについてくるってうるさいブタが1匹おってのう…茜と2人きりじゃなくなっちゃったぜよー〉


すぐに既読がついて、返事がきた。

ブタが1匹…いや、その人ぜったい普通に人間だよね。食いしん坊ってことなのか太ってるってことなのか。

2人じゃなくなって何故か残念そうな仁王くんに『人が多い方が美味しく食べれるよ』と返してから、廊下を走らないように昇降口に向かって学校を出た。






「…茜!」


学校から出て駅近くの方に歩いていると、後から名前を呼ばれる。

この声は、精市くん?
くるりと振り返るとやっぱりそこには精市くんがいて、その隣には蓮二くんもいた。


「やっと見つけたよ」


走ってきたのか少しだけ息の上がった精市くんに首を傾げると、蓮二くんがノートに何か書き込み出す。


「(わたしに何か用だった?)」
「今日コート整備で部活なくなったから、一緒に帰れるかと思ってさ」


あ、そっか。精市くんと蓮二くんって同じテニス部だったんだ、確か。
だから2人一緒だったんだ。なるほど。


「しかし茜の家はこの方向とは真逆だろう。どこかへ行く予定でもあるのか?」


え、なんで蓮二くんはわたしの家知ってるの。
精市くんからの言葉と蓮二くんの言葉で、嬉しいやらビックリするやらで戸惑ってしまう。

わたしは『今から友達とケーキ食べに行くんだ』とメモに書いて2人に見せた。


「友達?その友達って男?女?」
「(同じクラスの男の子だよ)」
「…ふーん。ねえ、それ俺達もついて行っていいかい?」
「俺もなのか」
「だって柳も気になるだろ?」
「…まあ、そうだな」


ダメ?と首を傾げてわたしを見る精市くん。
女の子顔負けに可愛いその仕草に断れず、わたしは仁王くんに一応確認してみようと携帯を取り出した。


〈わたしも、2人くらいついてきたいって友達がいるから一緒に行ってもいいかな?〉
〈…まあ、別にええが。うるさい女はやめてくんしゃい〉
〈女の子じゃなくて男の子2人だから大丈夫だよ〉
〈ほーん…。ま、とりあえず待っとるよ〉


仁王くん愛用のヒヨコのスタンプが押されて、わたしはクスリと笑う。

仁王くんは実際に話すのとRINEでは少しギャップがあるのがちょっと面白い。


「(大丈夫みたいだから、一緒に行こう!)」
「ふふ、良かった。茜とこうやって直接話すの久々な気がするし、嬉しい」
「(わたしも嬉しいな。蓮二くんも、なんだか久しぶりな気がするね!)」
「毎日RINEでやり取りはしてるがな」


止めていた足を進ませて、談笑しながら仁王くん達のところへと向かう。


「えー蓮二も?毎日RINEしてるの俺もなんだけど、俺だけだと思ってたなあ」
「俺の方が茜とは長いからな」
「何それ自慢?ムカつく。…まあ、俺には時間とか関係ないからね」
「そうだな。だが俺は負ける気は無い」
「かっこつけちゃって。俺だって負けないよ。テニスも、この子のこともね」


何やら言い合ってるみたいだけど、2人とも顔は笑ってるから喧嘩してるわけではないみたいで間に挟まれたわたしは苦笑しながらウンウンと頷いて相槌を打っていた。