※跡部が探偵で、女の子が助手です
※跡部の学生時代はほぼ原作通りです



「しょちょー」
「……」
「先輩!」
「……」
「跡部さん!」
「あーん?」


やっと振り向いた、とため息をすればどうかしまのかと首をかしげられた。それとともに昔と変わらない綺麗な金髪がさらりと動く。
この人は跡部景吾。この跡部探偵事務所の所長であり、唯一の探偵である。
跡部さんは、私の中、高、大の先輩であり、中、高と部活が一緒で大学は学部が一緒でサークルもゼミも一緒だった、一番仲のいい先輩である。ちなみに部活はテニス部で、先輩は部長を中学の3年間に高校の3年間と務められて、終いには生徒会長も務めた人だ。跡部様とか呼ばれてた。(私はそのテニス部のマネージャーだった)
学部は経済学部。本当は跡部財閥の御曹司だから財閥を継ぐはずだったのに、社会勉強とかでこの探偵事務所を開いた。その時に私を誘ったのは先輩だ。先輩は大学卒業と共にここを設立し、私はまだ大学に通ってるというのに先輩は「俺様についてこい!」の一言で済ましてしまった。
まあ、探偵事務所は期間限定なのだが、なかなかの実績をあげているここを、警察(これまた先輩の知り合いが多いのだ)や一般(これも先輩の知り合いが多いけど)から依頼は絶えない。期間限定だが、ここを閉める時は私も跡部財閥の先輩が経営する会社に入れてくれると約束したから稼ぎ口は心配していない。


「どうしたんだよ、なまえ」
「とうしたも何もありませんよ!お昼にしましょう!お昼!」
「おう。そういや腹減ったな」
「今日は跡部さんの番ですよ!」


そう言えば、短くため息をついてから分かってる、と言った跡部さん。
探偵事務所は実績はそこそこあるのに、なぜか私達二人なのだ。跡部さんが雇わないのが原因なんだけど、なぜなんだろう。…とにかく、二人なので、作るのは当番制なのだ。そして今日は跡部さん。跡部さんはそう言ったあと、不意に読んでいた書類(前回の事件のだ)をデスクに置いた。どうしたんだろうか、と見れば、跡部さんは顔の前に左手を翳していた。

インサイト。
跡部さんがそう呼ぶそれは、テニスで身につけた怪物並みの洞察力、観察力のことで、それはシンキングポーズであり、それをした時は跡部さんの本領発揮な時である。…まあ、そうじゃない時も多いけど。


「なまえ、」
「はい」
「…客だ。おそらく警察の」
「…どうしてまた」
「今、下に車を止める音が聞こえただろう。あのエンジン音は最近車を変えた奴の車だろう」
「それで?」
「そして、数秒後に下のドアが開いた音が聞こえた。この建物のドアを迷いなく来るのは、俺の知り合いぐらいだ」
「…それで?」
「そして、今ドアの前に立ってる。…なあ、幸村?」


そう跡部さんが言えば、ドアがゆっくりと開いて、綺麗な笑みを浮かべた幸村さんが入ってきた。
幸村さん―幸村精市。
近くの警察署の捜査一課の警部補さんだ。年の割りに出世が早い人で、捜査一課内に立海というチームを持ち、そのリーダーを務めている人。跡部さんより1つ歳上だ。この人、たまにこの事務所に事件を持っては来て、一緒に捜査しようと跡部さんを警察へ誘うのだ。


「久しぶりだね、跡部」
「つい1週間前会ったぞ」
「まあ、細かいことは気にしない。みょうじさんも久しぶり」
「ええ。おひさしぶりです」


そして幸村さんは、ソファに腰掛けながら、ソファ前の机に大きな手提げ袋を置き、言った。


「1つ、一緒に解いて欲しい事件がある」
「…お前は警察だろうが。いいのか?そんなにあからさまな依頼して」
「手を焼いてるんだよ。ちょっと警察は入りにくくてね、跡部。君の力を借りたいんだ」


それに跡部さんは、少し黙ったあと、はっと笑い、綺麗な笑みを浮かべた。…ああ、今回も、


「いいぜ?俺様に任せな」


長い事件になりそうな予感がする。


120401
とりあえずこんな感じですね。これで長編書きたいなあ…。拍手小説なのに伏線はっちゃったし
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