※源氏物語パロ
※柳が光源氏、女の子が葵の上の立場
※葵の上の兄は幸村
※光源氏と葵の詳しい関係は語り始めたら長いので、仲の悪い政略結婚で結婚した夫婦(だが両片思い)とだけ言っとく
※俺得にしかなっていなくて申し訳ない



「…毎日、お勤めご苦労様ですわ。たまには他の方のところへ行かれてもよろしいいのに」
「そう冷たいことを言うな。…勤め、か」
「お勤めではないのでしたら、お気まぐれでございましょうか?」


くすりとも笑わずに、なまえは言った。まあそんなことは言うなと距離を縮めれば、ぴくりと肩を揺らす。ああ、だからお前は止められない。必死に自分を崩すまいと虚勢を張る姿が滑稽で、壊したいと思う。女房にもどうせそんな態度で、兄や両親にもそう。友人なんて家絡みでしかも直接会うことなどほぼないに等しいのだから、俺だけに見せればいいのに、と思いつつ彼女の肩に腕を回す。


「…今日は、床ではないのでございますか?」
「いや、入る。だが、たまにはこうしていてもよいだろう。なあ、なまえ?」
「っ、その名はよして下さい。私は葵でございます」
「なに、親しくない訳ではない。幼名で呼ぶぐらいよいだろう」



そう言ってやれば、左様でございますかと身体を動かそうとするので、手首を掴む。だめだ。お前は、俺のもの。ここから動いていいなどと俺は言っていない。手首を掴まれたなまえは、不思議そうに俺を見てから、はあ、とため息をつき膝を寄せ先程より近くに座った。


「男の方は分かりません。兄上もですが、何を考えているかさっぱりでございます」
「ただ女を愛しいと思ってるだけのことだ」
「またまた。ご冗談、いえお戯れがお上手なことで」


そう言ってまた俺から顔を反らす。何回言えばこいつは分かるのだろう。そう思い、なまえを強く抱きしめた。


「…光さま、痛うございます」
「光ではなく、蓮二だと教えたであろう」



そう言えば少し黙ったあとに、体を離すように俺の胸板を叩く。お放しくださいと小さく言った彼女は手を震わせている。思わずくすりと笑みを溢した。



「俺が怖いのか?」



そう聞けば、何をと意味の分からないと言った顔になった。手が震えていることを伝えれば、俯いてしまった。除き混む様に見れば、下唇を噛んでいる。ああ、なんてことをするんだ。そんなことをしていては傷が付くではないか。せっかくの桜色で綺麗なのだから。親指で噛んでいるのを止めさせ、そのまま顎に手を添える形で顔を上げさせた。真っ直ぐに視線がぶつかる。なまえは少し涙目であった。



「…他の方を、」
「ん?」
「他の方を、触れられた手で、私に触らないで下さい」
「このところお前の相手しかしておらぬ」
「…白々しい嘘を。…移り香が、」





六条の御休所の移り香でございます。と言ったなまえの声は震えていた。ああ、可愛らしい。俺より歳上のはずだが、こんなにも小さく可憐で俺の腕の中に収まってしまう。



「ああ、文を頂いたのだよ。葵様と仲良くしておられますか、と」
「…ご冗談を、」
「誠だぞ?そもそも、お前が初夜の日につれなかったからどうするものかと悩んでいたら、精市と六条殿が助言をくれてだな」
「…はい?」


聞き返したなまえは信じられないと言った顔で俺を見た。要するに俺が六条殿の所に通っていたのは女心の勉強と言うか、扱い方を知る為であって、また精市と連絡をとり、葵の好物を聞き出したりと、すべてはこの腕の中の一人の女の為の行動である。



「だから、勤めなどと言ってくれるな」
「ひか……蓮二様、」
「ただ、俺はお前を愛しているだけなのだよ」




そう言って俺はなまえの目尻に小さく口付けを落とす。ぴくりと反応したが、逃げるそぶりはない。

ああ、なんて愛しい。



111227
葵と結構した当時はまだ藤壺が好きな源氏は、初夜でつれない葵をどうにか自分を意識させようと六条の所へ女心のお勉強に。夕顔は仲のいい話の合う女性。
藤壺と寝たりするけど、諦めきれてなかった少しの気持ちが原因。結局は葵を愛す方が強かった。という話の系列。
一応、原作と色々違うので説明を書いておきました。
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