>>ツンデレ常備な日吉君とその彼女( 2/2 )


唐突だが、私の彼氏はツンデレだ。
ツンデレだなんて言葉、彼氏の前で口にしたらどんな目で見られるかなんて想像出来過ぎちゃって困るところだけど、…きっと冷たい目で見下してくるんだろうな。若、跡部のパフォーマンスを見ては俺はあんな部長には絶対なりませんと部長になること前提でよく話をしているのだけど、見下す感じとか、跡部より酷いからね。仮にも彼女な私に。仮にも先輩な私に。まあ、そうやって言ってみれば、返ってくる言葉は決まってる。


「だって、なまえさん馬鹿じゃないですか」
「…4教科は忍足に勝ってるのに」
「どうせ、現国、古文、英語のreadingとwritingでしょ。完全な文系ですよね」


と、鼻で笑われるのがオチだ。勉強面でも下剋上を狙う若は跡部に勝ちたいが為に頑張ってきて、学年トップで苦手教科はあまりない。理科類はUFOとかUMAに繋げ、社会類は民話や神話に繋げてしまうのだから、ホラーヲタク(と言うと怒られるけど聞いてないから言う)は恐ろしい。だけど、若は変なところで抜けている。どんなに頑張ったって跡部には勝てないじゃないか、学年が違うのだから。だけど、張り出される順位表が上から3年、2年、1年と並べられるのだから、若の名前の上には必ず跡部の名前があるということになる。それに下剋上!と言って本気で悔しがるのだから、若は面白い。






「……なまえさん」
「なに?若」
「…にやけないでくれますか、気持ち悪い」


そしてツンデレだ。ツンばっかりで、デレは一向に見つからないとか言うお決まり的なオチも付き纏う典型的なツンデレ。
せっかく、二人で久しぶりに帰れると言うのに、全然嬉しくなさそうだし、終いには嬉しさで頬が緩む私に気持ち悪いとばっさり言ってしまう程のツンだ。まだ普通の女の子にならまだしも、彼女の私にまでこんなんだ。家族は一体どんな感じなんだ…。ちなみに、普通の女の子にならこういう態度はどんどん取って欲しい。私だけでいいんだ。気まぐれで優しくして貰えるのも、こうやって二人で帰れるのも、勿論、暴言を吐かれるのも。Mじゃないけど。
若は私の彼氏だから。絶対に誰にも譲れない。譲ったり出来ない。
そう思っていれば、いつの間にか繋いでいた手にぎゅっと力を入れられた。私の左手、若の右手。若の利き手だからか、握力が強くて、すごく痛い。


「上の空とはいいご身分ですね」
「え、あ、その、ごめんなさい」


どうやら何かを話していてくれていた様で。私のばかあ!馬鹿!せっかく若が珍しく話し掛けてくれたのに!なんで聞いてないのっ!と自分を責めながら若に謝る。またぎゅっと力を込められた。


「ぃた、い、って」
「謝っても許しませんよ」
「ひ、酷いよ若…」
「泣きまねしてもダメです」


ずばっと言った若は、そのままはあとため息をついた。…一体、何を話してたんだろう、と本気で聞いてなかった私を責めはじめた。馬鹿本当に馬鹿。そう思ったらなんだか視界が滲んできた。さっき若に手を強く握られた時も痛くて滲んだんだけど、今回はもっと滲んでしまう。目の縁には収まり切らなくて、そのまま流れてしまいそうにもなる。こんなことで泣いてたらまた若に呆れられちゃうかもしれないと思った。若はツンデレの上に興味のない物にはばっさりとないと線を引いてしまう。もしかしたら私は線ギリギリに立っていて、今にも要らない、興味がない方に行ってしまうか分からないところに居るのかもしれない。そう思ったらもっと視界は滲んで、それが、悔しくて、もどかしくて、下唇を強く噛んだ。


「…なまえさん、さっきから人のはな、し…」


やばい。バレた。
中々返事をしない私を不審に思ったのか若は私の顔を覗き込む様にした。そうすれば、涙を浮かべた私がバッチリ見えたはずだ。止まってしまった若に私はどうしようもなくなる。どうしよう。呆れられた。すっと伸びてきた手にぎゅっと目をつむれば、


「っなまえさん?どこか痛いんですか?大丈夫ですかっ」
「…わ、かし?」
「え、はい。どうかしましたか?大丈夫か?」


慌てて私にそう聞いた若。よく分からないまま、若の名前を言えば、返事をしてくれる。もう敬語は微妙にとれていて、彼の顔は本当に焦った感じだった。


「…ううん、ちょっと、」
「ちょっとじゃないだろ!泣く程ならなんか、あったはずです!」


がしっと私の肩を掴む若。真剣な顔で私を見てくれる。ねえ、とその若に聞いた。私のこと好き。疑問形で聞けば、答えはさぞ当たり前だと言う様な声色で返ってきた。


「好きじゃなかったら、こんなに心配もしないし、デートに誘いもしません」


デート?その言葉に俯いていた顔を上げた。若はほんのりと頬を赤くして、やっぱり聞いてませんでしたかと笑った。それが格好よくて。緩く円をかく様に綺麗な曲線を描いた彼の口元にちゅ、っと音をたててキスをした。すぐに離れれば驚いた様だった彼はすぐに不適に笑い、私の後頭部を掴み、そのままキスをした。


「…日曜日、遊園地に行こうって言ったんです」


赤い顔のまま視線だけをずらして若は言った。行く、と即答した私にふわりとまたあの綺麗な笑顔を見せた。やっぱり、若は格好いい…。


「それと、さっき泣いた理由は今から俺の家できっちり聞きますから」
「え、は恥ずかしいしっ!」
「自分の彼女が自分と居て唐突に泣き出して気にしない男は居ませんよ」








11.08.10
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(一応終わりましたが、女の子が全然美都じゃないし、話は支離滅裂だし、よくやったとも言いたいねー)(まあ、ツンデレがツンデレになっちょらんところが一番心配)
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