日常と外出
なまえさんが氷帝に遊びに行くのはよくあることの様や。謙也もたまに着いて行っては忍足クンとよく話してるらしい。…仕事はええんか。まあ、そういう俺らも今コーヒー飲んでる訳やけど。すると、こんこんと入り口の扉が叩かれた音がした。開いとるでーと謙也が言えば、横開きの扉が開かれる。すると入ってきたのは、立海のダブルス1。つまりは柳生君と仁王君である。二人は確か、執事と聞いている。



「謙也ー俺にもコーヒーくんしゃい」
「仁王君、失礼ですよ。あ、大丈夫ですよ、謙也君。私が煎れますから」


そう言うと柳生君は眼鏡のブリッヂを上げて、コーヒーメイカーに向かう。仁王君はもう座っており、手持ち無沙汰の様に手を組んでいる。すると、くすりと謙也が笑った。え、なんなん?



「まーた、入れ替わっとるんか」
「プリ、バレたかのぅ」



すると、コーヒーカップを二つ持ってこちらに歩いてきた柳生君から仁王君の声が聞こえた。はっとなって座っている仁王君を見れば苦笑をしつつも、ウイッグをとり、眼鏡をつける柳生君が。…え、なんなん、この二人、私生活でも入れ替わっとるんか。そう思っていれば、柳生君が謙也を見て言った。




「どこで、お気づきに?」
「利き手のブレス、付け替えるの忘れとるよ?ヒロシ君」



そう謙也は柳生君の右手を指差した。そこには、オレンジ色のラバーブレスが通してあり、かたんと音をあてて柳生君の隣に座った仁王君の左手首にもついていた。
それは、階級や役職を示すものであり、俺達医師や薬剤師は薄緑だったりする。これは、四天にはない仕組みやから貰うた時は驚いた。しかも、これが鍵となる部屋があるらしく、関係者以外、とかいう部屋はこれで入れる入れないが決まるらしい。




「ほら、急遽やろうとか言い出したん、ヒロシじゃし。はい、謝罪」
「はい。すいませんでした」




そう言って軽く頭を下げた柳生君はさながら紳士とは程遠い感じであり、この二人、食えないとか言われとるけど、なんとか食っても消化不良で腹痛くなるっちゅーオチがくっついて回るような二人やな。すると、仁王君がこちらを見て、右手を差し出した。



「これからよろしゅう」
「あ、ああ、こちらこそ」



咄嗟に手を握れば、ニヤリと仁王君は笑うから、何かの詐欺かと思えば、謙也も柳生君も何の反応も見せない。なんや気のせいかと思いつつ。座った仁王君は眼鏡(さっきまで詐欺でつけていた柳生君と同じ形の眼鏡やな)を弄りつつ、俺へと視線を寄越した。



「白石は、知っとるんか?」



なにが、と聞く前に柳生君がはっきりとそれはないでしょうと言うた。謙也を見れば、苦笑してみせて、なまえちゃんのことやと言うてみせた。



「私達が言うことではありませんし、ご本人から言われるでしょうが、なまえさんの相手をして欲しいと幸村君に言われたのでは?」



柳生君は眼鏡のブリッジを上げてそう言うた。確かに、幸村クンは俺にそう言った。さっき謙也も似たようなことを言っていたし。俺がどういうことかと聞けば、仁王君はまた笑うて言うた。



「なまえと話せば分かるよ」




111210
ヒロイン無登場。まさかの非夢状態。すまぬ。


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