今日は朝練がない日ということで、ゆっくりの登校。それでも朝のHRにはまだまだ時間がある。下駄箱にはいつも通り手紙が入っていた。今日は3枚。読む気はないが、すぐ捨てたりしたら怨まれそうで恐い。じゃから、一応はバックに。まあ、押し込んだ。



「あ、仁王きた」
「ふあ、」

欠伸をしながら後ろのドアを開ければ、丸井が元気よく、大きく手を振ってくる。手を振り替えそうとして、左手を上げて。そこで止まった。

「雅治ーおはよー」

窓側の丸井の後ろの席。つまりは俺の席。そこには最近の記憶に新しい奴が座っとる。可愛らしく、手を振ってる。え。なんで居んの。

「…なまえ」
「あ、逃げるとかなしじゃよ?今日は!あんね、今日お昼一緒しよか。こっち来るし」
「…勝手に話を進めんじゃなか。まあ、おはよ」
「うん、おはよう!」

朝の挨拶をしながらテニスバックを机に置けば、さっとなまえは席を立った。遠慮なく俺はそこへ座る。なまえは、机の傍らに立ったままじゃ。

「お前ら、やっぱ仲いいなあ」
「でしょう!」「ブンちゃん」
「だって、仁王、女子とこんなに話すの、珍しくね?」
「…まあ、そうじゃが」

そう言いつつ、なまえを見れば、嬉しそうに笑っている。うあ。なんかくる。頭痛い。ずきずきと痛い。俺、偏頭痛持ちじゃったっけ。そう思ってると、不意に髪を撫でられた。びく、と肩を揺らすと、苦笑したなまえにごめんねと謝られた。

「は、なにが」
「雅治、髪触られるの嫌いじゃったし。ごめんね。でも、」

綺麗に染まったね、となまえは言った。お姉さん、元気?とも聞いた。それに一応、ていうか毎日パシられてる身となっては、あの横暴は病気にならないぐらい直らないとも思うぐらい。
そう考えて、止まった。

「姉貴、知っとんの?」
「言ったし、私。幼なじみじゃて。あんたとお姉さんと。あんたの髪は、小学校の卒業式の次の日にお姉さんが染めたんよ」

それは、覚えとる。姉貴、めちゃくちゃ楽しそうに脱色して、銀髪がいいと勝手に人の髪を染めたんじゃし。

「……やっぱお前ら、幼なじみなんだな」

丸井がクッキーをもそもそ食べながら言ったその言葉が頭の中で響いた。

110425
(シリアスにする気はもっとうないです)

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