にらみあう二人を引き離す。と言っても、幸村を離すのは俺達には無理なので、なまえを幸村から離した。不機嫌そうににらみあっていた二人は、お互い拗ねた感じじゃな。…おおかた予想がつくからなんとも言えんが、下手に言って幸村の矛先がまたこちらに向くのは嫌じゃし…ここは真田に犠牲になってもらっておくかの?


「私、待っとるから雅治練習頑張ってな」


俺達の中で最初の動いたのはなまえじゃった。そう俺に笑顔で告げてからくるりと踵を返した。…無かったことにするつもりじゃな。するとすぐに幸村が呼び止めた。幸村はにこやかで、一瞬無表情になったなまえも淡く笑顔を作った。…なにこいつらなんか怖い。



「今日ここに来てもらった本題をまだ話して無かったことに今、気付いたよ」
「あら。今更思い出すんなんて、大丈夫と?」
「ご心配ありがとう。早速だけど、マネージャーやらないかい?合宿の間だけなんだけど」



は、と止まったのは俺となまえだけ。丸井はいいんじゃねとか言っとるし、赤也は目を輝かせ…て、あいつもう大丈夫なんか。ああ、参謀と真田の顔を見れば、あいつらは最初から知っとったな。すると、なまえは真剣な顔で幸村を見る。

そして、俺は答えるであろうと考えていた言葉をなまえが発するから、不覚にも笑ってしまいそうになった。









帰り。部活が終わるのをフェンスの向こうで他のギャラリー達に紛れて見ていたなまえのもとまで行き、帰ろうと告げる。すると、可愛らしく微笑んでみせたなまえと俺は歩き出した。隣に並んで歩くなまえは今日学校に行ってから親友に雅治と付き合うことになったこと言っちゃった。とあまり悪く思ってはないじゃろこいつ。まあ、案の定、舌を少し出して言うから、…ああ。もう可愛い。まあ、別に秘密にしたい訳じゃないんじゃし、親友はファンクラブのなんかと言っちょったから、これからのこと考えたら言っておいた方が楽じゃしなあ、と思いながらもなまえにデコピンをした。すると、


「…雅治はやって欲しかった?」
「ん?何を?」


そう上目遣い気味にないながらも聞いてくるなまえは分かっていながらも聞き返す。そうすれば、意地悪と可愛らしく頬を膨らませるから薄く笑って俺は答える。


「マネージャー、じゃろ」
「…ん、やって欲しかった?」


髪を撫でて俺が答えれば気持ちよさそうに目を細めてから頷くなまえにまさか、と返した。なぜ、なまえをマネージャーにする必要がある?勿論、なまえがサポートしてくれること以上に嬉しいことはない。じゃが、



「なまえは俺んのじゃき」
「…悪いけど、私だって雅治以外応援する、理由ないし」



そう照れくさそうに言ったなまえにどうしようもなく、鎖骨あたりがきしきしと締め付けられる。…やってくれた。じとっとした目でなまえを見れば、舌を少しだけ出して肩を小さくすくめた彼女は、相も変わらずの悪戯っ子で、俺は滅多なことでは勝てない。そんな彼女はその後に本当に嬉しそうに笑うから。



「のう、なまえ」
「ん?なに?」
「…来週の日曜、部活休みじゃき。デートするぜよ」
「…初デートは遊園地って決めてるんよ、小さい頃から」
「ん。知っとっと」


そう言って、なまえの手を握り、俺は言った。
知っとるよ。ずっと。小さい頃から。

120108
遅くなってすいません…

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