心配してくれたんだからなまえちゃんに礼を言えと標準語で姉貴に命令された。ちなみに俺は床に正座。姉貴はソファー。その隣になまえ。母さんと帰ってきた父さんはリビングで酒タイムらしい。麻友姉、そのくらいで、と何回もなまえが言うてくれたおかげで足が少し痺れたぐらいで済んだ。


「ねえ、雅治」
「…なん」


姉貴が出ていってから、暫く経って。俺の隣に座っていたなまえが笑いかけた。ふわりと、昔みたいな笑顔。…こんなにも、変わらない笑顔をずっと見せていてくれていたのに。なんで俺は気付かなかったんだろう、なんで。すると、きゅっとなまえは俺の手を握った。所謂、恋人繋ぎ。どきりとした。昔はよくやったけど。…じゃけど。案外冷たいなまえのこの手をぎゅっと握り返した。


「私も、ずっと好きじゃった」


真っ赤な顔で、声を震わせ、目には涙を溜めていた。そんななまえも可愛い。昔はよく、からかった。やり返しもあったけど。でも、昔も、今も。一番好きなのは、なまえの笑顔。笑ってるのが、一番好きじゃった。昔は、一緒に居るのが、当たり前じゃったし、俺の隣はなまえのもの。なまえの隣は俺のもの。それも、当たり前じゃった。たまらなく、好き。気付いたら、凄く好きじゃった。ぎゅ、と彼女を抱き締めた。彼女の腕も俺の背中に回る。まーくん、と懐かしい呼び名が聞こえる。なん、と返せば、なまえは言った。


「昔を知らない雅治は、寂しかった。でも、凄く格好よくて。毎日ドキドキした。変わった様で、雅治は何も変わっとらんかった。それでも、以前の雅治とは違う人だと思っとった。でも、私は、もう一度、雅治に恋したんよ」


さらりとそれだけ言って
、なまえは黙ってしまった。ぎゅうと背中に回る腕の力は強くなる。思わず笑みが零れた。ああ、こんなにも、なまえが必死な姿なんて見たことない。きっと俺が今見えないからと言ってなまえの顔は赤い。ああ、可愛い。


「もう一度、約束してくれんか」
「約束?」
「そう」


これからもずっと一緒じゃって。

真っ赤な顔で無邪気に笑ったなまえの耳元にちゅっとキスをした。ああ、好き。ずっと、好きじゃった。小さい頃から。転校してきて、「初めて」出会った日からずっと。そして真っ赤になりながら、照れ臭そうに笑う君が。

大好き。


110906
もうこれで終わってもいいかな←

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