くそ、あいつ、ええ加減にしろやまじで。あいつ自分が少し顔ええからってまじ調子こいてんやないっちゅー話やもん。くそ。いいもん。別れたったもん。はっ。ざまあ。まじほんまざまあやもん。自慢の顔に、左頬に真っ赤な紅葉咲かせてやったし。うち偉い。やから、全然悲しくないんやもん。そうやもん。だから今頬っぺたに流れてんのは汗やもん。涙やないもん。ちゅーか涙ってなに。まじ。なにそれうまいん。

「なまえ。ええ加減戻ってこいやあ」
「む、りやもんんんん」

そう答えれば、謙也は小さくため息をついた。そして、ぽんぽんと私の頭を叩いてくれた。机に伏せている私は、それに最初は小さくビクついたが、すぐに慣れた。だんだんと小さくなっていくそれは、ついには優しい。撫でて、くれてる。なんだか安心する。涙がだんだん出なくなってきた。目を擦りながら、机から体を起こした。お。そう謙也は呟いて、手を下ろす。あ。待って。まだ。撫でて、て欲しい。待ってって言うてるやろ。

「ま、だ。撫でて」
「…、その前に目冷やせや」

なに。そんな酷い目してるん。そう聞けば、謙也はからからと笑うた。そうやない。目尻が少し赤くて魅力すぎるから、俺がヤバい。真っ赤になりながらボケて馬鹿か。そう言うてやったら、

「やっぱなまえはそうやないとなあ」

と笑うてくれた。そして、あんな奴、早う忘れや。勿体ないやん。なまえ、せっかく、かか可愛ええのに、あんな最低な奴、忘れや。そうやないとなあ、

「…俺も可哀相やろ?」

眉を少し下げてそう言った謙也はなんだか、泣きそうだった。私、は。謙也の優しさに、甘えとったのかもしれん。すると、謙也は言うた。これからは俺にもチャンスがあるんやろ?なら、

「遊園地のチケット。白石が2枚譲ってくれたんや」

せっかくやし、一緒に行こか。そう言った謙也に胸の奥が摘まれた感じがして、急に世界が色鮮やかになっていったのを感じて、顔に熱が溜まるのも感じた。せやからか。お、ん。そう小さく頷くしか出来ひんかった。それでも謙也は一瞬目を開いて、すぐに笑うて、また私の頭を撫でてくれた。今度は、優しくて、力強かった。







110309
誰か×女の子←謙也 な、図な話の、誰かと女の子が喧嘩別れした話。
たぶん誰かは浮気。ていうか、うち的に誰かを白石にしたかった。実はね。

相方にプレゼントした。
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