やばい。とちった。やばいやばいやばい!どうしよう。「次は男子バスケットボール部です」嘘!ちょ、待った!落ち着こう、少し落ち着こうよ私。今、男バスなら、次は女テニ。次に男テニ。さあ、と鮮やかな音を立てて私は真っ青になる。鏡ないけどそうよ、絶対なってる。
 何てったって私は男子テニス部のマネージャーで、部長の幸村不在の今、真田と二人で全校で行われる新入生歓迎会の部活紹介で、立海男子テニス部の紹介をしなくちゃならない!
それなのに、なんてこった!手元にあるはずの台詞を書いた紙はどこかへ旅立ってしまったし、念の為に参謀である柳に手伝ってもらい暗記したものの頭の片隅に追いやられたのか私の頭の中は一向に姿が出て来ないばかりか、ついでに昨日の晩ご飯でさえ忘れる始末だ。

「落ち着くんじゃ、なまえ」

ぎゅう、と左手を隣から握られて、はっとなった。仁王だ。隣の仁王を見れば、にいっと笑った。そう慌てなさんな。そう言って仁王はまた、ぎゅうと手を強めに握ってくれた。さっきまで必死に色々考えてたからか心臓がバクバク言っていたのが、だんだんゆっくりになっていく。仁王のおかげだ。そうお礼を言うと

「んじゃ、ええお仕事した雅治くんにご褒美ー」

にんっと笑って、ちゅっと小さなリップ音を立ててキスをされた。今度はこれで心拍数が上がりそうだ。もうやだ。

「そういや、真田もアガったとか言うて台詞忘れた言うてたん」
「え?…うそ、どうしよ」
「参謀が台詞ぐらい全部メモってあるんじゃけど面白くないから、いっそステージでテニス軽くやろうって幸村と話しとったぜよ」
「………は?」

なんで幸村居んわけ?今、入院中じゃなかったっけ?そう思ってると、真っ青な顔をした真田を柳と一緒に引きずってきた幸村。…本当に居るし。ていうか、パジャマにジャージ羽織ってる。…さすが。

「な。これなら大丈夫ナリ」
「…う、うん」
「姫はほんまにかわええ子なりー」

そう言って抱き着いてくる仁王は背が高くて支えが効かなくなる前に柳生が助けてくれた。体育館ステージ舞台裏。女テニの部活紹介がもうすでに終わっていて私達のせいで3分のロス。プラスで校長先生の長い話でロス30分。幸村が先生に微笑んでくれたからお咎めなしだったし、校長先生は青い顔してた。
 ちなみに私達の部活紹介で幸村の魔王っぷり(五感奪い)が真田において実行されて、仮入部は前年度から1割減したと柳が言ってた。


-----------------
マガより
王者熱ハンパないこの頃
110217
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -