※カジノパロです
※出てくるキャラの選択は私の偏見と独断です
※勿論のこと作者はカジノ行ったことないので(日本じゃ犯罪ですし)全部想像



カジノ。そこは賭け場所。
さあ、今日は、何を賭ける?




「コール」




私が発した言葉にざわりと周囲がざわめいたのを感じた。くすりと笑顔を浮かべて、私はトランプ5枚を裏返したままテーブルに置いて、そのままひっくり返した。向かい側に居る人は青い顔をした。ロイヤルストレートフラッシュ。綺麗に揃った私のカードに驚いた様な声が上がり、そして、相手は青い顔をしたまま自分のカードを見せる。ツーペア。ディーラーは私の方へ軽く手を上げ、相手側に積んであった小さなコインの山が私の元へと移る。



「いっイカサマだ!」



真っ青な顔してそう言った相手の人は立ち上がった。でも私は笑顔を浮かべたまま。イカサマなんて、どこに証拠があるのかしらと言ってみせれば相手は言葉に詰まる。それより、この人、大丈夫なのかしら?身ぐるみ全部置いていっても、差額は埋まらないんじゃ?そんなことを考えてながら、真っ青な顔の相手をそのままにし、私は席を立って移動した。コインは係委員に預けておけば大丈夫だし。そのままバーカウンターに寄って、いつものちょうだいと腰掛けた。暫くして出されたピンク色のカクテルを飲んでいれば、隣に誰かが座った。




「やあ、なまえさん。今日も調子いいね」
「あら、精市さん、あなた程ではないわ」




そう言えば、ふふっと笑みを溢した彼。精市さん。
彼は私より少し年上で、たまにここで一緒に飲む。

私と精市さん。それと、雅治さんと景吾さん。
この4人がこのカジノの四天王だ。

絶対的な力で相手を追い詰め、まるで五感を奪われた様に動けなくなるまで敗者を追い込む精市さん。
飄々とした態度で相手のペースを崩し、自分の調子に巻き込み、詐欺(ペテン)をしているのかと思うゲームメイクをする詐欺師(ペテンシ)の雅治さん。
このカジノのオーナーであり、絶対の王(キング)の景吾さん。
そして、この私。負け知らずのなまえ。まあ、私の場合、半分イカサマ、半分本当なんだけれど。

イカサマのことは四天王と人達は知ってるけど、なぜかそのまま放置されている。…景吾さんなんてここのオーナーなのに。
ちなみに私が彼らを名前で呼んでいるのは、苗字を教えてもらっていないから。カジノで出会った相手にフルネームを教えるなんて馬鹿な真似はしないということだ。



カジノ。そこは賭け場所。
プライドを失い、金を失い、未来を失う。
そんなところに集まる人なのだから、どんな人種なのかは分からない。




「それで?今日は何人泣かしたんだい?」
「失礼ね。まだ3人程よ」
「充分だよ」



そう言って肩をすくめた精市さんは、笑顔だ。…精市さんだって、クラップスでさっき圧勝してたの見たけど。クラップスはサイコロを2個転がして出た目を競うもので、私はあまり得意としない。イカサマ出来ないし。そんな私の得意分野はトランプゲーム。ブラックジャックでもポーカーでも、なんでもどうぞって感じ。

こうやって親しそうに精市さんと話してるけど、実は、精市さんが何者かは全くもって知らない。苗字がなんというのかも、昼間は何の仕事をしているのかも。そして、精市さんも私のことは何も知らない。




「でもなまえさんは本当トランプ強いよね。俺と今度やる?」
「…身ぐるみ剥いで欲しいの?」



そう返した私に楽しそうに笑った精市さんは一口カクテルを飲んで。そして、




「そうだなあ、そろそろ君の全部が知りたいよ」




射抜く様な視線で私を見た。真っ直ぐすぎるそれに私は思わず肩を揺らした。それを見て精市さんはまたふふっと笑う。私が椅子に座り直し、カクテルを一口飲んでから、ねえ、と精市さんは言った。




「そろそろ俺に負けを認めたらどうだい?」
「…私は負け知らずのなまえよ?」
「…だから、君の全部が欲しい。俺の、負けでいいから」



そう言って私の右腕を掴んだ精市さんは一枚のお札をテーブルに置いて、釣りはいいなんて格好いいセリフを言って。そして、カジノの出口を目指して、歩きだした。




「好きだよ、なまえさん」
「…私だって、好き」



そう答えれば、また笑ってから、カジノを出てからもう一度聞くよと言って精市さんは私を引っ張って行く。


カジノ。そこは賭け場所。
勝てば天国、負けたら地獄。

…いくら私だって、こんなことにイカサマは出来ない。そんなの、真っ赤になってるであろう私を見た精市さんだって、分かっているはずなのに。


120716
勿論イメージソングはボカロの「イカサマ⇔カジノ」です。パロだからキャラ同士の関係性は全くもってないです
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -