今度の日曜日はなまえさんとデートの日。すごく、柄でもないかもしれないけれど、すごく楽しみだ。そして、すごく嬉しい。やっと、だから。新人戦の大会が近くて、2年生だから、部長ではないけどレギュラーで。練習休む訳にはいかないし。ていうか、なまえさん、テニス放り出すくらいならデートやだとか涙溜めて言うし。その時の顔、真っ赤で、本当可愛かったなあ。


そして、今日。
なぜか、姉弟と彼氏彼女が揃っている。いや、柳生も居るけど。



「へえ。セイイチ君って、あの精市君だったの」
「えっ…し、知ってるの?」
「何を慌ててるの。面白い子ね。蓮二の友達だから何回か会ったことあるのよ」



そう蓮二のお姉さんが言うと、よかった、と笑みを浮かべるから、ああ本当に可愛い。



「あの…姉貴…痛い、です」
「あームカつくーなまえすごく可愛いけどムカつくー」
「えっちょっ痛いよ!姉貴痛い!!」
「…仁王君、方言が消えてますよ。落ち着いてください」



仁王のお姉さんは、さっきから仁王の腕をちみくったり叩いたり、あ、今は頬引っ張ってる。隣で柳生が半泣きの仁王にハンカチ差し出してるし。

さっき。部活がミーティングのみになって早く終わって。蓮二がダブルスのことで仁王と柳生と、蓮二の家で話すって聞いたから、俺も便乗して。それで蓮二と蓮二のお母さんが用意してくれた、お茶と茶菓子を一緒に取りに行ったら、ねえ。なまえさん居るし。なんでも、仁王のお姉さんだけでなく、蓮二のお姉さんとも同じ大学で仲がいいらしくて。今は、一緒の部屋でお茶中。俺の向かいがなまえさん。その隣に蓮二のお姉さん。円をかく様に座ってるから、蓮二のお姉さんの隣で俺の隣が蓮二。なまえさんのもう片方の隣は仁王のお姉さんで。仁王のお姉さんは仁王にちょっかい出してて。仁王の隣が柳生。



「由利ちゃんと、精市君のお友達が姉弟とか、すごいね」
「そうね。蓮二も早く教えてくれればいいのに」
「姉さんこそ。最近お二人を連れて来ないからデータが取れない」
「…ストーカー」



蓮二のお姉さんがそう言って蓮二を見れば、目を開いて蓮二はお姉さんを睨み付ける。思わずふふ、と笑えば、向かいのなまえさんも同じ様に笑っていた。



「せ、精市君は今日、部活は?」
「今日は、ミーティングだけだったから早く終わったんだ」
「そうなんだ!あ、あの…し、新人戦頑張ってね。応援…行ってもいい?」
「え…来てくれるの?」



そう俺が聞けば、こくりと頷いたなまえさんに、笑ってありがとうと言った。頬がピンクの色をさしてるなまえさん可愛い。
すると、仁王の悲鳴…でいっか。悲鳴が聞こえた。



「あね、姉貴痛い!痛い!重い!!しぬ!!死んじゃうから!!」
「お姉様に重いとか失礼な」



そちらを見れば、もう方言がどこかに行っている仁王の上に仁王のお姉さんが乗っていた。柳生は柳生でおろおろしていて。隣を見れば蓮二はノートに書き込んでいて。蓮二のお姉さんも、あらあらと言って笑っている。なまえさんを見れば、びっくりした様な顔をして、そしたら、目が合って、おかしそうに笑った。俺も仁王には悪いけど、おかしくて、笑った。

120806
仁王はお姉さんには逆らえない。麻友美さんは仁王に八つ当たりです。

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