「え?デート?」
『そう。デート。今度の日曜日、空いてる?』



お昼の時。いつも通りに麻友美と由利ちゃんと学食でランチタイムをしていたら、精市君から電話がかかってきた。たぶん、精市君もお昼休みなんだと思う。精市君が授業サボるとか、あんまりイメージ出来ないし。精市君が電話向こうでそう言って。私はそれに、いっ行く!と答えた。そう、よかったと優しい声で微笑んだ。じゃあ、また詳しいことはあとで連絡するねと精市君が言ったので、うんと頷いて、会話を終了させれば、隣の由利ちゃん、向いの麻友美が私を見て、にこにこ、…ううん、にたにたと笑っていた。え…どういうこと?どうしたの?



「デートですって。デート」
「あれから1ヶ月近く経つのにまだかまだかって思ってたら、やっと初デートなのね」
「せ、精市君は部長さんだし、大会も近いから忙しいんだよっ」



そう私がカレーライスのスプーンを握って言えば、2人はごめんごめんと笑って言った。うう…絶対そんなに悪いって思ってない…。そう思いつつ、付け合わせのサラダをつついていたら、そう!と由利ちゃんが手を打った。




「今日、うちにおいでなさい」
「…え?」




由利ちゃんは気まぐれな人だ。それいいわね!と嬉々として笑みを浮かべた麻友美。…彼氏さんはいいのと私が聞けば(今日は映画を見に行くと言っていたの)、あんな奴よりこっちのが優先と笑って言ったけど、意味が分からない…。いいのかな、彼氏さん放っておいて。







「お、おじゃまします」
「ほら、入って入って」
「お邪魔しまーす」



久しぶりに来た由利ちゃんの家はやっぱり大きかった。和風な造りの大きな家は、離れがいくつかあって、お花とお茶と書道のためのお部屋があったはず。蔵と呼ばれる物も建っていたりするので、本当に本格的な和風家屋。いらっしゃいと迎えてくれたのは由利ちゃんのお母さんで、今日も着物がびしっと決まっていて、すごく綺麗。



「あれ?蓮二帰ってきてるの?」



そう由利ちゃんが玄関に並んだ靴を見て言った。立海指定の革靴が4個、揃えられている。…4個も履くのかな?麻友美も不思議に思ったのか、ちょっと訝しげな顔でそれを見ている。



「ええ、お友達を連れてね」
「母さん、茶菓子はあ…姉さん」
「あら、蓮二、お友達?」



そう由利ちゃんのお母さんが答えた時、由利ちゃんのお母さんの後ろの廊下から、声が聞こえた。由利ちゃんのお母さんがそっちに振り向く。由利ちゃんが声をかけた弟君を見れば、



「せ、精市君っ?」
「なまえさんっ?」



精市君が、由利ちゃんの弟君の隣に立っていた。



120723
スタートです。
2歳ありがとうございます。

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