君と再会
「へえ、みょうじさん、オサムちゃんのクラスなんや」
「はい」
「結構テキトーやない?オサムちゃんのことやし」
「うーん…たまに?あ、でも、オサムちゃん独断が多くて」
ちょっと困っとります、と笑って言うたみょうじさん。
一緒に帰ろうと言うて、家の場所を聞けば、方向は一緒の上、結構家自体が近い。最初赤い顔でおどおどしとったみょうじさんも、笑って話してくれる様になって。
「この前も、文化祭のミスコンに出ろ、とか無茶なこと言うて。これはクラスの皆も、そうなんですけど」
「ああ、ミスコンなあ。みょうじさん出るんやな」
「…はい、私なんか、出てもダメだと思うんやけど」
「え?なんで?」
みょうじさん、充分、綺麗でかわええけど、とぽろっと思っていたことが口に出た。え。と言って、みょうじさんの顔は真っ赤。うわ、かわええ、っちゅーか!俺何言うとんの!はずかし!
「え、えっと、あの、ありがとうございます」
「い、言っとくけど、お世辞やないからな?」
「ええ?!」
そう言って更に顔を赤くするみょうじさん。目は泳いでいて、うわ、なんや、すごいかわええ。そう思ってれば、そう言えば、と話題を変える様にみょうじさんが手を打った。
「この前は、プリント拾ってくれて、ありがとうございました」
「…プリント?」
そう聞き返すと、この前の学校全体で委員会あった日、忍足先輩にぶつかってもうて、プリント拾うてもろたんです、とみょうじさんは言う。
…え?ちょ、まさかの?
「ビンゴやん!」
「っ??」
俺が思わずそう言うと、みょうじさんは肩を揺らして、驚いた。うわ、大声出してもうた、と思いながら謝れば、笑顔で答えてくれる。やっぱ、そうやったんや。この子やったんや。
「…そんとき、みょうじさん、眼鏡しとらんかったよな?」
「あ、はい。ミスコンの時の化粧、オサムちゃんに見せに行った帰りやったんで」
「そうやったんかあ。みょうじさんやったんや」
俺がそう言えば、みょうじさんは首をかしげた。そして、もう一度笑顔でありがとうとお礼を言うて。俺はどういたしまして、と答えてから、
「あんな、俺、ずっと気になっとった子がおんねん」
そう言えば、みょうじさんは、え、と小さく呟いただけやった。俺はそのまま続ける。
「その子、委員会あった日にぶつかったんやけど、プリント拾ってな。それ渡したらめっちゃ笑顔になんの。その笑顔かわええって思ったら、気になってな」
「…え?え?」
「なあ、みょうじさん」
そう言って俺は立ち止まって、真っ赤になっとるみょうじさんの右手を掴んで、正面に向き合った。
「お友達からでええから、なまえちゃんって呼んでええ?」
真っ赤になっとるなまえちゃんが頷いて、俺は笑顔を浮かべた。
それから、なまえちゃんが俺の彼女になるのは、もう少し先。
FIN
120730
これにて終了です
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