君は誰 | ナノ

きみに会えるのは


あの子のあの時の姿は、化粧をしていた可能性が高いっちゅーことになって。それから授業を受けて、俺はいつもどおりに部活へと出る。



「…そういや、謙也さん」
「ん?」
「…沙良…あ、俺の彼女から頼まれたんすけど」
「え?光の彼女ちゃんから?」



そう聞き返せば、そうっすわとそっけなしに頷く財前。財前の彼女の沙良ちゃんとは何回か会ったことがあるだけで、ちゃんと話したことはない。確か、ショートカットの友達と一緒にたまーにやけど、テニス部を見ていることがあった気が…。



「謙也さん、みょうじなまえっちゅー奴知っとります?」
「…みょうじなまえ?」
「沙良の友達なんすけど、先輩のファンらしいっすわ」
「えええ。それまじか!」


いやいやいやいや、俺んファンとか珍しい!
四天宝寺は氷帝とか立海とかみたいにすっごいファンクラブってのはないんやけど、まあ、こんだけ個性が見事にバラバラの格好ええ奴ら揃っとったら、そこそこのファンクラブは出来るわけで。やけど、やっぱり人気が集まるんは白石とか千歳とか、財前。が、人気やんな。…俺もそこそこ、やけど。と、にかく!!



「…ほんまに俺のファンなん?」
「嘘言うてどないするんすか。とにかくみょうじに会ったってください」
「…ええけど、別に」
「ほな、あそこで沙良ん隣に居る奴なんで、帰りに」



財前が指さした先には、2人。黒髪で、緩くカールがかかった背の高い(といっても、160あるぐらい)方が、財前の彼女の沙良ちゃん。たぶん、隣の子がみょうじなまえさんなんやろう。髪は肩につくかつかないかで、少し緩くカールしとる。赤い縁の眼鏡をかけとる。なんだか綺麗な、顔をしとるとは思うけど、遠くてよう分からへん。分かったととりあえず返事をすれば、白石からラブルスと打ち合えとの指示が来る。財前と軽くため息をつきながら、ラブルスがもう待機しとるコートへと入った。
120729

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